4月15日(土)配信 ティータイムコラム

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当阪本が、ティータイム・春にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

年をとるにつれて、季節の繊細な移り変わりが愛おしく感じられてきました。学生時代にはさほど感じられていなかったのだと、今になって思います。若い頃は桜だったり紅葉だったり雪だったりと、そんなわかりやすい事柄が「季節」なのだと思っていましたが、何年も「季節」を繰り返していくうちに、移り変わる変化を楽しむようになりました。

そして、そんな細やかな季節にはちゃんと名前も付いています。

七十二候、というのをご存知でしょうか。立春、立夏、と言われるのはご存知かと思いますが、それらは「二十四節気」と呼ばれます。その二十四節気をさらに細かく分けたのが「七十二候」と呼ばれる季節の呼び名になります。

ちょうど今の時期、四月十四日から十九日までの時期は「虹初めて見る(にじはじめてあらわる)」。これから夏にかけて、夕立のあとに虹が多く見られる時期に入ります。「立春」などのように、単語で表されるのではありません。「虹初めて見る」の前は「雁北へ帰る(がんきたへかえる)」。その名の通り、雁という鳥が北へ帰る季節ということです。生き物や自然の様子をそのまま表す表現が「七十二候」なのですね。

ちなみに「二十四節気」としては、今の時期は 「清明(せいめい)」とよばれます。清明の時期はおよそ四月四日から十九日ごろまで。生き物がみな生き生きとする時期のことを指すそうです。

この時期の旬なものとしては、カツオ、ほたるいか、たらのめ、めばるなどなど。そして、忘れてはならないのがお茶。新茶の季節ですね。日本ではもうすぐ八十八夜を迎えます。立春から数えて八十八日目の夜、ということで今年は五月二日ですね。八十八夜に摘んだ茶葉は長寿の薬と言われたようで、それほどにまで美味しい、ということではないでしょうか。

お湯がポコポコと煮立つ音が聞こえると「お茶でもいれようか?」という何気ないやりとりがあって、そして我が家のお茶の時間が始まります。茶葉の香ばしい香りを吸い込むとともに、目にしみる湯気をグッとこらえてお茶を喉に流し込むと、ふわっとした余韻が膨らんでいく。時代や形は変わっても、何千年も前から飲まれてきたお茶は安らぎの時間によりそってきたのでしょうね。

お茶はペットボトルで飲むことが日常になってしまった今、あらためて思うのです。こんな時間を楽しみたいなと。さて、今年の新茶はどんな味わいがするのでしょうか。今から楽しみです。

(参考文献 白井明大 日本の七十二候を楽しむ 東方出版)

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。