〜洋食器の歴史〜 ロココ様式

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、ノリタケ・ティータイム・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

当時のヨーロッパ的なデザインを象徴するロココ様式が取り入れられるようになりました。

前回の「〜洋食器の歴史〜 バロック様式」に引き続き

今回はロココ様式についてご紹介します。

ロココ様式とはフランス宮廷を中心に

18世紀の初頭からフランス革命までの約75年間に栄えた装飾様式のこと。

ルイ15世の愛妾であるポンパドール夫人が活躍して、

国王の権威を誇示するために宮廷文化が花開いた時代です。

彼女が主催したサロンをはじめ、この王朝風スタイルをロココと呼び、

当初は工芸品や室内装飾に見られる非左右対称のデザインを意味していました。

やがてヨーロッパ各国に伝がるにつれて、

淡い色調のパステル画や優美な宴のテーブルウェアなども生まれ、

この時代の芸術全般をロココ様式と呼ぶようになったのです。

女性的なデザインのロココ様式と男性的なデザインのバロック様式ですが、

その時代の境目は曖昧で「この日まではバロック様式で、この日以降はロココ様式」と

明確に線引きすることはできません。

ただ共通していえるのは、当時のヨーロッパでは貴族階級の間で

中国や日本の東洋磁器への関心が高まっていたということです。

さらにコーヒー、紅茶、チョコレートなどがヨーロッパに伝えられ、

ティータイムの習慣が磁器焼成への情熱に拍車をかけた結果、

1709年にヨーロッパで初めて東洋磁器と同じ材質の硬質磁器の焼成に成功。

ヨーロッパのテーブルウェアは銀器から磁器へと移行しました。

硬質磁器の誕生直後の洋食器は中国や日本の柿右衛門の模様が中心でしたが、

1730年頃に絵付師ヘロルトがデザインを担当することで

もちろん洋食器以外にも、ロココ様式の代表的な芸術作品は存在しています。

モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール作「ポンパドゥール夫人の肖像」

アントワーヌ・ヴァトー作「シテール島の巡礼」

ジャン・オノレ・フラゴナール作「ぶらんこ」など。

アンジュ=ジャック・ガブリエル作「プチ・トリアノン宮(ヴェルサイユ宮殿敷地内)」

クノーベルスドルフ作「サンスーシ宮殿」

ツィンマーマン兄弟作「ヴィース巡礼聖堂」などが挙げられます。

ロココ様式の特徴は、なんといっても

エレガント・洗練・優美などの言葉が相応しい女性らしいデザイン。

また基本的に非左右対称なアシンメトリーなデザインで、

曲線が多く使用されていることも特徴として挙げられます。

装飾にはバラやその他の小花、ガーランドをはじめ、

貝殻や小石などの曲線状の模様・ロカイユ模様、リボンなどのモチーフが多用されています。

これらの特徴は洋食器のデザインにも当てはまるので、

ロココ様式の代表的な作品をいくつか見ていきましょう。

マリーアントワネット 1775シリーズ

ポンパドール夫人と同じくロココ様式を象徴するマリー・アントワネットが

こよなく愛した幻の工房・レーヌ窯コレクションを現代版として復刻したシリーズ。

シリーズのなかには当時の食器の手描きやひずみの部分まで、

ノリタケの熟練職人が忠実に再現した作品もあります。

“アンティコドッチア”と呼ばれるシェイプは典型的なロココ様式。

小花の絵付けには幾種類かのパターンがあるため、

同じ作品でも何枚かを見比べると微妙に柄が異なる点も同シリーズの愉しみのひとつ。

ロココ様式の時代に誕生した代表的な絵柄「マリア・テレジア」が印象的。

18世紀に流行したハンティングのシンボルであるもみの木の色だけで、

エレガントな花柄を彩色したシンプルかつ重厚な作品です。

時代ごとの様式に着目して鑑賞すると、芸術作品を今まで以上に楽しめる予感。

洋食器ひとつ取っても、あなたがまだ知らないあなたの好きが見つかるかも知れませんね。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。