バカラとナポレオン

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、バカラ・ウェッジウッド・マイセンにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

クリスタルグラスでおなじみ、「バカラ」。その輝きや重量感やデザインは独特の存在感があり、多くのファンに愛され続けています。わたしもノーブルに勤めてから、バカラの魅力にとりつかれてしまいました。

そんなバカラ、「アルクール」や「マッセナ」など、ネーミングも独特。ほかのブランド、ウェッジウッドもマイセンも、「ワイルドストロベリー」や「ブルーオニオン」など、絵柄や形をシリーズに分けています。

同じようにバカラはガラスの形状によってシリーズを分けており、グラス類のほとんどに、人物や都市の名前がつけられていて、ほとんどがフランスに関係ある名前。

そして中でもあの皇帝ナポレオンにちなんだ名前が多く付けられているのです。今回はバカラのネーミングから、皇帝ナポレオンに迫ってみましょう。

マッセナ【MASSENA

フランスの軍人で、フランス革命期に確実に功績を上げ、2年で将軍にまで昇進した人物です。1797年、新任のイタリア方面の司令官となったナポレオンの指揮下で、マッセナはリヴォリの戦いに入ります。そのときにマッセナはすばらしい活躍で、オーストリア軍を追い込み、勝利の立役者となりました。

その後も活躍は続き、「勝利の女神」と称えられます。

ナポレオンが皇帝となった際には元師の地位につきます。

リヴォリ【RIVOLI

リヴォリのシリーズは金彩があしらわれ、エンパイアやアンペラトールと比べるとすこし落ち着いた絵柄になっています。

フランスのリヴォリ通りはルーブル美術館へと続き、みやげ物や高級店の並ぶ通り。ナポレオンのイタリアでの勝利を称えて、リヴォリ通りと名前が付けられています。

タリランド【TALLEYRAND

タレーラン(Talleyrand)というフランスの政治家がこのシリーズの由来です。フランス革命期・第一帝政期の外交官としてナポレオンに仕えていました。オーストリアのメッテルニヒと並ぶほど、評価の高い外交官です。

このタレーラン、美食家としても有名だそうで、シェフに一年間重複のないメニューを命じて出させていたとか。

さらに、メートル法を提案したのもこのタレーランだといわれています。

タリランドのオールドファッション(ロックグラス)もアルクールと同じように6面のカットをされています。ただ、タリランドのほうは底面に向かって極端に細くしてあり、グラスを上から覗きこむと・・・底面にあるバカラのロゴがカット面にうまく反射して、なんと7個に見えるんです!

グラスを上から眺める楽しさも、バカラは知り尽くしているんですね。

「皇帝」の意味ですね。フランスで皇帝といえば、ナポレオンしかいません。フランス革命後、王政から共和政へと移り、1799年にナポレオンがその権力を握り、やがて皇帝となり、第一帝政(1804-1814)がはじまります。

金彩で細かい絵付けがされていて、細かい縦のカットがされて、個性的で存在感の強い逸品。

フランス読みは「アンピール」。語意は「帝国・帝政」なのですが、「THE FIRST~」とつけることにより「第一帝政」の意味になるようです。フランス語では「PREMIER EMPIRE」がその意味になります。

余談ですが、「EMPIRE du Soleil-Levant」とは「日出ずる国」、つまり「日本」だそうです。

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いかがでしたか??

あるんです!「ナポレオン」!それはコニャックグラスなのですが、シンプルなグラスに金彩で王冠と「N」の文字が入っています。

ナポレオンを英雄とし、憧れの対象として見ているフランス人の感覚。フランス革命がいかにフランスの歴史において重要か、というのが伺えるのではないでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。