南国の楽園パラオ

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、ライト・夏にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

昨年、念願だったパラオ共和国へ行ってきました。パラオは太平洋上のミクロネシア地域の島々からなりたち、マッシュルームのような形をした無人島が点在しています。

第一次世界大戦後、パリ講和会議によって、パラオは日本の委任統治領になりました。日本統治下のもと道路や学校・病院の整備が積極的に行われたため、日本人にはとても友好的な国。日本語がそのまま現地の言葉や名前としてたくさん残っています。

たとえば「Take a Shashin!」 と言ってカメラを渡せば、写真を取ってくれますし、ベントーといえば、そのままお弁当を指します。また、現地のタクシーなどに乗ると、「私の祖母の名前はキクエです。あなたはどなたですか」と聞かれたりもします。ちなみに、現地で「ツカレナオース」といえば、ビールを飲むことを指すそうです。きっと仕事の後、一日の終わりにビールを飲んで「疲れを治す」ということなんですね。そんなパラオのビーチの海の色は透き通り、水上を弾かれたようにきらきらと光が反射しています。遠くへ目をやると、まるで、誰かが海の中心に濃い青の絵具を落としたように、遠くからコバルトブルー・アクアブルー・ライトブルーへと海の色が変化し、濃淡がとても美しいものでした。ミルキーウェイと呼ばれる白濁色の海は、海底に沈む真っ白な泥で、海がエメラルド色をし、島の影が黒々とした形を残しています。

子供の頃、水は透明なのに、なぜ、海は青く見えるのだろうと不思議に思ったものです。

学生になり、理科の先生が海の水は電離したイオンの関係で僅かに青緑色を呈しているためで、地域によって海の水が異なっているのは海域により含まれるイオンや不純物により色調が変わってくるのだと教えてくれました。そこへ光の加減や、深さが加わり、海の水はライトブルー・アクアブルー・コバルトブルー・エメラルドなど、様々な青を示す色の名前があてはめられています。

パラオの数多くのブルーの海に潜む魚はもっと凄いものでした。色鮮やかな小魚が気持ちよさそうに泳ぎ、ナポレオンフィッシュやカメはシュノーケリングしている私たちなど、気にもならないというような素振りで悠々と泳いでいました。初めてのシュノーケリングで私は、まるで魚たちと空を泳いでいるのではないかと感じました。

自分用のお土産に買った、木彫りの小さな魚は今も窓辺で空を見上げています。

また、パラオにはジャングルや大きな滝もあります。トレッキングに出向いたガラスマオの滝・シーカヤックをしたジャングル。静寂に支配されたジャングルを進むと、フルーツコウモリや小さなカエルに出会います。コンクリートに囲まれた日常では見つけることのない、小さな花や果物。ものめずらしさに、何一つ見逃すまいと私の目は皿のようになりました。

日差しを遮るマングローブのトンネルはとても涼しく、風の音や鳥のさえずりが楽しめ、シーカヤックからは、何もいないように見える無人島からははっきりと南国の生き物たちの息遣いが聞こえてきます。

たくさんの自然に囲まれ、空と海の青が溶け合う楽園。今年は行けなかったけれど、来年は是非もう一度訪れたいです。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。