この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、新春・和・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
新しい年を祝いお正月にはじめてかける釜のことで、「初寄り・点初め・お稽古はじめ」とも言い、新年心新たに濃茶・おとそと懐石・薄茶を頂きます。
先日、茶道の行事である初釜に行ってきました。
楽しみは、亭主の用意するお道具やお料理。
習い始めて年月は浅いですが、知識がなくても気配りをあらゆるところに見たり感じたりすることができとても勉強になります。
まずは掛け軸。新年にふさわしく「寿・福」などの言葉と今年の干支「子」が描かれたものがかけられます。花器には新たな年の始まりを祝う紅白椿があしらわれていました。
お料理では料理人の腕が試されます。今回の初釜でいただいたお料理を少しだけご紹介したいと思います。
煮物碗にはおめでたさを出すため「金鶴」「銀亀」をいう名をつけ金箔などを散りばめた碗が出されました。また歌会の勅題であった「火」を盛り込んだお料理も出されました。
そしてもちろんお茶のお菓子は「花びら餅」。今まで食べた花びら餅には、ごぼうと人参が入っていましたが中身は和菓子屋さんによって異なるのかもしれません。
宮中や神社では600年以上もの間、正月のおせち料理の一つとして作られ続けている「菱はなびら」に由来する伝統ある和菓子です。
平安時代の新年の「歯固めの儀式」(長寿を願って猪、大根、押鮎などを食べる儀式)を簡略化したものと考えられ、ゴボウは押鮎を表わし、餅と味噌餡には雑煮の意味が込められているのだそうです。
明治時代に裏千家が初釜に用いることを宮中から許され、以後、新年を象徴する菓子として、「花びら餅」となりました。
お道具には新年初めだけに使われる青竹のお茶尺と茶筅が用意されていました。青竹は、若くて新しいということから新しい年とかけて使われるとのことでした。
茶道など日本の伝統文化や伝統工芸品に触れると、「日本人の心」に出会うことが多々出てきます。
たとえば茶碗。手作りのものには歪んでいたりしているものが多く機械のような正確さはありません。
しかし私たち日本人は、その完璧ではない作りに美しさを見出し、不完全であることに己を見て、美の世界を楽しむという心があると思うのです。
これは日本人がもつ独特の感性で、長い歴史をかけて体の中に刻み込まれたものだと思います。
日本の伝統が今日まで受け継がれ、今あらたに見直されているのはその美しさや素晴らしさを理解できる心が、私たちの中でまだまだ息づいているからではないか、そんなことを年初めに感じました。
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