フィンランド・デザイン界の良心

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、アラビア・イッタラ・北欧にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

デザイン家具、デザイン家電、ユニークなテキスタイルなど多くの人から注目されている北欧デザイン。かくいう私もそんなうちのひとり。

好きなデザイナー、メーカーなど数多くありますが、今回はその中から実は日本ともゆかりの深い「カイ・フランク」について少しばかり紹介させていただきたいと思います。

カイ・フランク(1911-1989)は、1911年フィンランドのヴィープリ(現在のロシア)生まれ。当時すべての工芸家が学んでいたというヘルシンキの美術工芸大学で家具デザインを学んだ後テキスタイルデザイナーとなる。1945年にアラビア入社、1946年にはデザイン部門のディレクターに就任する。

日常生活の質の向上を目的にした実用性の高いデザインで知られており、その作風から「フィンランドデザイン界の良心」と呼ばれています。アート性の高いガラス作品も多く、作品の多くはヌータヤルヴィ・ガラス美術館に収蔵されています。

ティモ・サルパネヴァやタピオ・ウィルッカラとともにフィンランド3大デザイナーとして称えられています。

日本との関わり

プロダクト・デザインの改善・振興を担う招聘デザイナーとして1958年(昭和33)に来日。京都・丹波、飛騨高山など日本各地をまわり、日本人の生活の中から生まれた民芸品に深い感銘を受け、後の彼の作風にも影響したといわれています。

また、浜田庄司や食通としても有名だった北大路魯山人といった陶芸家たちとも出会っています。

愛され続ける不朽の名作「ティーマ」とその前身となる「キルタ」

1953年にデザインされた「キルタ」は、大量生産ができ、装飾がなくとてもシンプルなデザインでした。それまでの食器のイメージとはまったく違っており、キッチン革命と呼ばれる程あっという間に人気が出ました。アラビアの業績不振に伴い製造中止になったときはフィンランド国内では社会問題にもなったといいます。

1981年発表の「ティーマ」はキルタを食洗機、電子レンジ、オーブンでも使えるようにカイ・フランク自身がリ・デザインしたもの。素材の比率も変わり、カラーも変更になりました。現在の生活習慣に見合った改良で定番のテーブルウェアとして愛されてきました。

ちなみにティーマとは英語のテーマと同義。「チーム」を意味するフィンランド語のティーミにも由来しているといわれています。

※アラビア社は2004年にイッタラと統合されました。

カイ・フランクの功績

1992年にはニューヨークのMoMAで回顧展が開催され好評を博しました。現在のフィンランドでは「カイ・フランク賞」が設けられています。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。