この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当・佐々木が、春にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
いろいろな銘木のある京都御苑でも、見事な八重桜が咲き終わると、お花見シーズンは終了です。
今年も桜の季節となりました。平成最後のお花見ということで、例年とはまた一味違った趣ではないでしょうか。
京都はこれから遅咲きの桜が見ごろになります。
ソメイヨシノなどとは違って、色が濃く大きな八重桜の花は、観るだけでなく食用としての愉しみもあります。神奈川秦野市などで盛んに作られる、八重桜の花の塩漬けは、縁起物として広く親しまれています。「お茶を濁す」ことを嫌って、お目出たい席では茶の代わりに白湯に桜の塩漬けを入れた「桜湯」を用意することがよくあります。
湯呑の中でほのかに香りを立たせながら八重の花を咲かせているさまは、とても華やかで風雅なものです。
ところで言うまでもなく、日本は多くの花々に恵まれた土地ですから、桜以外にもいろいろな花を用いた飲み物があってもよさそうなものですが、あまり見かけません。
一方、中国では、いろいろな花を使って作られたお茶、その名も「花茶」(ホアチャ)が家庭でもよく飲まれます。つい最近も知人が中国土産で菊の花茶を買ってきてくれました。その豊かな風味はどこか異国情緒を感じさせるものです。
花茶は菊以外にも、ジャスミンやキンモクセイ、蓮やハマナスといった花が用いられ、花弁の香りを茶葉に移すなどして作られますが、この点が日本の桜湯と違うところといえるでしょうか。
しかしどうして日本では、中国のような花茶が発達しなかったのでしょう。
よく知られているように茶を喫する文化は中国発祥のものです。本来は中国でも、茶葉そのものを味わうのがお茶の形であったと思われますが、どうもその後、茶葉の風味を消し去る方向へとお茶の文化が進んでいったようです。花茶だけでなく、たとえばプーアール茶のように、茶葉を発酵させることも、そうした嗜好に沿ったものだといえます。
対して日本では、抹茶をはじめ、新鮮な茶葉が発する清々しい香りと甘みを重視することが伝統となり、それが現代にまで脈々と続いているわけです。
「桜茶」と呼ばれることもある「桜湯」は、日本の茶文化のなかでは例外的な立ち位置にあるといえかもしれません。
日本でも中国流の花茶は比較的手に入りやすくなりました。湯を注ぐと花が開くタイプの花茶は、見た目にも華麗で美しく、テーブルを艶やかに引き立てます。
綺麗なガラスの容器で花茶を入れるとその美しさが一層際立ちます。
ぜひ花々が豊かに咲き誇るこれからの季節に、お気に入りのグラスで花茶を愉しんでみてはいかがでしょうか。
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