シェリー酒の魅力

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当佐々木が、グラス・ワイングラス・テーブルコーディネートにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

日本の食卓でもワインがポピュラーなお酒として広く親しまれるようになったのは、ここ10年ぐらいのことでしょうか。

2020年2月1日コラム

食生活の欧米化が進むにつれ、それに合うお酒としてワインの存在感が増してきたように思います。チリワインなど比較的安価なワインが流通するようになったり、また最近でもEU産ワインの関税が下げられたことで、日本で手軽に飲める銘柄が大きく増えたことも影響しているのでしょう。

かくいう私もワイン好きなほうですが、まったく知識が身につかないまま場当たり的に買っては味見をする繰り返しです。世界中さまざまな産地があり、そしてブドウの品種もじつに多様。ワイナリーの数に至っては、たとえばフランスに約8万5千、イタリアには約16万、北米にも1万近くあり、世界のワインの銘柄はまさに星の数ほどあるわけです。

私のように、ひとつ飲んでは、その前に飲んだ銘柄を忘れるようでは、象の背中を撫でるかのように、ワインの広大で奥深き世界をほんのちょっぴり垣間見るだけです。

しかも、ワインの種類には、ご存じのようにシェリー酒のような、いわゆる酒精強化されたものも含まれます。このシェリー酒に至っては完全な守備範囲外となり、右も左もまったくわからなくなってしまいますが、周りのワイン好きたちもこのお酒を日常的に嗜む方はあまりみかけないようです。日本ではまだそこまでデイリーなワインというわけではないのかもしれません。

とはいえ、ワイングラスには、最も小さなグラスがシェリー用として立派に位置づけられています。晩餐の食前酒や食後酒として飲まれてきたお酒ですので、リキュールグラスほどではありませんが、こぶりなかわいらしい姿をしています。

ただおそらく、香りを重視する昨今のワイン全般の傾向に合わせて、シェリーを白ワイングラスで飲むことがよくあるようです。先日、知人のお店で、伝統的なシェリーグラスと白ワイングラスのそれぞれでシャリー酒を味わわせてもらいました。

シェリー酒にも甘口から辛口まであって、またさらにそれぞれに製法の違いなどによってバリエーションが広がります。たとえば、辛口でも、酵母を用いて作られる「フィノ」や「マンサニーニャ」、酸化熟成を経る「オロロソ」などといった種類があります。

確かに白ワイングラスでこれらを少量ずつ飲み比べてみると、グラス内部の空間が広い分、香りの違いを強く感じることができます。シェリー酒が、思った以上に複雑多様な香気を纏っていることに驚かされました。

ただ、伝統的なシェリーグラスも、いつものワイングラスと違う趣で新鮮味を感じますし、香りや味も充分に楽しむことができます。そして、なによりも食前や食後に嗜むのであれば、小さなグラスがもつ独特な手触りも心地よいものではないかと思いました。

シェリー酒はそのままストレートで飲む以外でも、カクテルとして使われることもあります。それぞれのシチュエーションに合わせた飲み方とそれにふさわしいグラスをチョイスすれば、まだシェリーの奥深き世界に触れていないワイン党の方々も気軽に楽しむことができるのではないでしょうか。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。