新年の抱負と目標との距離感

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、新春にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

かくいう私も「今年こそは、昨年の振り返りと新年の抱負にじっくりと時間を費やすぞ!」と意気込むものの…蓋を開けてみれば「まぁ年末年始くらいゆっくりしよう」と自分に甘えを許す毎年でした。

「一年の計は元旦にあり」。

何事もまず初めに計画を立てることが大事である、ということわざです。

古くからの友人が地元の大阪を離れていることが多く、1年の逢瀬をぎゅっと詰め込んだように、年末年始はスケジュールが慌ただしくなりがちだから仕方ない。はい、これが私の認知的不協和を解消する言い訳です(笑)。

とはいえ、そもそも新年に抱負を立てる必要はあるのでしょうか?さらに言えば、ことわざとして残るくらいに、新年に目標を掲げる意義はあるのでしょうか?形式的なものかと疑問を抱いていた私ですが、どうやら検討はずれのようです。

心理学者のジョン・ノールクロス博士が行った新年の抱負についての研究によると、「新年に抱負を立てることは、目標達成に良い効果をもたらす」と証明されています。

その実験では、まず初めに400人を対象に「年末年始の間に何か目標を立ててはどうですか?」と問いかけました。すると、3つのグループに別れたのです。

(1)現状の生活を変えることに興味がない人

(2)目標は立てるが新年にやる必要はないと考えている人

(3)新年の目標を立てると考えている人

そして、(2)と(3)を比較すると、(2)のグループは目標を立てた後1〜2週間は51%の人が目標どおりに行動できていました。しかし、半年後にこの数字はわずか4%まで低下。(3)のグループは71%の人たちが1〜2週間は目標どおりに行動できていて、半年後にも46%の人が継続して目標を達成していました。

つまり、他の時期に目標を立てた人より、新年に目標を立てた人の方が、目標設定後の半年間において、10倍の率で目標通りに行動できているという結果が明らかになったのです。

博士いわく、やはり新年は未来を見つめる特別なムードがある時期だからこそ、自分の生活に意識を向けるにぴったりのタイミングで、周囲からの応援も受けやすいのだろうと。

そして、目標達成のコツは、小さな目標を積み重ねて、振り返りながら、少しずつ前に進むことだとも述べていました。人間は習慣の生き物。同じことを何度も繰り返します。いきなり大きな変化を望むのではなく、日常生活の中でハードルの低い習慣から始めるのが良いと答えています。

「大きな目標よりも、小さな習慣」。改めて、今年はこのテーマを据えて、地道に振り返りながら、少しずつ前進したいなと感じさせられました。

ただ、「目標を達成しなければ!」という焦りも禁物。30歳になってくると、闇雲に目標を追いかけるだけが正義ではないと薄っすら感じるようになるものですね。それと同時に、たまに読む哲学書にあったニーチェの言葉が脳内から思い起こされます。

過去に出版された『漂流者とその影』にあった一説です。

(超訳 ニーチェの言葉から引用)

目標にとらわれすぎて人生を見失うな

目標にとらわれすぎて人生を見失うな。

山登りをする。たゆまず、獣のように。

汗にまみれ、一心不乱に頂上を目指す。

途中にいくつもの美しい眺望があるのに、

ただ次の高みへと登っていくことしか知らない。

あるいはまた、旅行であってもいつもの仕事であっても、

一つの事柄だけにふけって、他はすっかり忘れてしまう。

そういう愚かなことが、しばしばなされている。

たとえば仕事の場合では、売り上げを伸ばすことだけが

たった一つのなすべき目的のように錯覚してしまったりする。

しかしそうすることで、仕事をすることの意味は失われてしまう。

けれども、このような愚かな行為はいつもくり返されている。

心の余裕をなくし、合理的に行動することを重要とみなし、

その観点からのみ人間的な事項までをも無駄とみなして、

結局は自分の人生そのものをうしなってしまうようなことが頻繁に起きているのだ。

最近観た映画でも、ブラックな広告代理店に勤めるヒロインの女性がパートナーに対して、「自分の未来だけ考えて、今を捨てるのもう辞める」というセリフがあり、心の奥に残り続けています。

そう考えると、先ほど述べた今年のテーマだと少し足らない気が。「大きな目標よりも、小さな習慣を。そして、今を生きるために暮らしに鮮度を」。これでしっくりきた気がします。暮らしに鮮度をもたらすひとつの選択肢として、器を新調する新年も悪くないと私は思うのです。そこで、個人的に気になっていたアイテムをご紹介します。

ディップソースやヨーグルトに、使い勝手の良い小ぶりなサイズです。2本の紐が美しく調和する模様で光を受けてキラキラと輝き食卓を美しく彩ります。「洋」のイメージが強いボサノバシリーズですが、「和」の雰囲気にも意外としっくりと馴染み、「昭和レトロ」っぽい懐かしい雰囲気も持ち合わせています。シンプルでエレガントなデザインが生み出す上質空間で優雅な癒しの時間をお過ごし下さい。

元旦は過ぎてしまいましたが、1月中もしくは新年度が始める4月までに、新しく取り入れたい習慣が見つかれば良いな。と、またついつい甘えが出てきてしまう不束者ですが、本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。