マクロビオティックと和の食卓

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、和・テーブルコーディネート・晩秋にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

マクロビオティック、昨今耳にすることが増えたのではないでしょうか。海外ではゴア前副大統領や歌手のマドンナなどが実践しているこのマクロビオティック。実は約60年も前にマクロビオティックをという言葉を使った日本人がいたことをご存知ですか?

第二次世界大戦前後に桜沢如一と言う人が石塚左玄の唱えた独自の食養生、正食を発展普及させたのです。

では石塚左玄、桜沢如一とはいったいどのような人物で、どのようにマクロビオティックは生み出されていったのでしょうか。桜沢如一はノーブルの所在地でもある京都の生まれ。結核などの多くの病気に苦しみ、石塚左玄の食養により健康を奪回するのです。その後自ら研究を重ね、マクロビオティックを里真夫人と考案・普及させてゆきます。

●石塚左玄とは?マクロビオティックの礎を築くこととなります。ヒトは穀物を主食とし、野菜や漬物や乾物などを副食とすることを基本する。とし、独自の陰陽論を元に食材や調理法のバランスを考えます。しかも、そのバランスは人間の歯の構造から導き出したのです。臼歯16~20本・門歯(切歯)8本・犬歯4本の割合=穀物・野菜・魚肉だと。

たとえば肉食動物の歯は尖っていて、胃腸はとても短く作られています。草食動物の歯は扁平で、胃腸は長く、中にはいくつもの胃を持っている動物もいます。またプランクトン食べるクジラは櫛みたいな歯をもっており、同じクジラでも肉食系のクジラの歯はやはり尖っています。雑食の動物は歯もいろいろな形の歯が入り混じっています。もちろん進化の過程でそういった環境に適した食事・適した身体構造となったのは言うまでもありませんが、このことを無視して食事をすることはできません。

さらに身土不ニ、体(身)と土(育った環境)は分けられない(不二)、環境の影響抜きには存在できない、人も含め全ての生き物は環境の産物なのだ、と考えています。私はこの話を聞いたときに地産地消という言葉を思い出しました。その時期・季節にとれる旬のものを食卓に取り入れることが大切になってきます。夏場であれば水分をたっぷり含んだトマトやきゅうりがほてった体を冷やしてくれます。反対に冬場であればごぼうや人参などの根菜が冷えた体をあたためてくれます。それぞれの季節耐えうる野菜が私たちの体調を支えてくれる。なんとなく納得です。

●桜沢如一とは?今までの石塚左玄の思想を基盤とし、食事療法を学び独自に研究をしました。彼は食品を「陰性」「中庸」「陽性」に分類し、産地の寒暖や形而上の特徴からカリウムを多く含むものを「陰性」としナトリウムを多く含むものを「陽性」と位置づけました。また、「中庸」に位置するものとして玄米・小麦等があります。この中庸に値するものをしっかりと摂取することにより、陰陽の偏りをより小さくする働きがあるとしています。この食事バランスをシーソーに例えると、両サイドそれぞれが「陽性」・「陰性」となり、支点部分に「中庸」がおかれます。この支点部分がよりしっかりしていればバランスは崩れにくくより強固なものとなります。食事が偏ると、体のバランスが崩れ、気分までが優れなくなってきます。まさに医食同源の原理ですね。

このマクロビオティックは日本から飛び出し、アメリカへも波及しましたが、当初は栄養学上、非常に偏った食事で、ビタミンなどが不足するとし、批判されていました。しかしながら、現代では日々の食生活が肥満や糖尿病などの生活習慣病の増加をもたらしているとの反省から「アメリカの食事目標(マクガバン・レポート)」が打ち出され、それを機に「穀物を主食として副食と明確に分離するという日本の伝統的な食事は、医学的、栄養学的にも優れている」と世界中で見直されてきています。

私はマクロビオティックと聞いて、規則正しく・限られた中での食生活を送らなければいけない。とても退屈で、食べることが大好きな私にとっては耐えられないのではと感じましたが、基礎を理解したうえで偏りの少ない食事を心がけることで少しずつチャレンジできるのではないかと考えるようになりました。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。