四季を彩る言葉

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のショップスタッフ三宅川が、ハロウィンにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

風も爽やかな季節になり、ちょっと散策にでもでかけましょうかと、そんな気分になる季節です。一歩外に出るとあたりの香りが替わり、色が替わっている事を全身で感じ、「あ~時は流れているんだ」と実感します。

菊薫る頃ともなりましたが、皆様方はいかがお過ごでいらっしゃいますか。

この感覚を『秋になった』と一言で表現するのももったいない。四季のある国には季節を表す美しい言葉がたくさんあります。そこでこの「秋」を表現する言葉について少しお話したいと思います。

このところめっきり手紙を書くなどという機会も減ってきましたが、日本には手紙の冒頭と締めを季節感あふれる言葉で表現するという文化があります。

例えば10月。時候の挨拶で代表される言葉は

寒露の候、秋晴の候、紅葉の候、錦秋の候秋冷の候、爽秋の候、秋麗の候、仲秋の候夜長の候、秋霜の候

などなど。

その中でも私が好きな表現が、冒頭に書かせていただいた「菊薫る頃」というものです。この一言で、菊の花が咲く季節になった事、菊の花の芳しい香り、そして黄色、白、紫と美しく咲き誇る色合い。そのすべてを読み手に伝え一緒に季節を感じてもらいたいというおもてなしの心。ヤマトナデシコとしてはこういう言葉を使いこなせるそして似合う女性でいたいと願うばかりです。

季節を暦であらわした『二十四節気』『七十二候』この中にも季節を表現する美しい言葉が使われています。

元々古代中国で考案された暦で、太陽が移動する天球上の道(黄道)を24等分したものが『二十四節気』です。夏至・秋分・冬至・春分、それぞれの中間に立夏・立秋・立冬・立春を入れた八節、その一節45日を3等分にした24の区切りにそれぞれに季節を表す名称がついています。

『二十四節気』で秋と定義される季節

立秋 (りっしゅう)8月7日ごろ: 秋の気配が感じられるころ

処暑 (しょしょ) 8月23日ごろ: 暑さがおさまるころ

白露 (はくろ)   9月8日ごろ :しらつゆが草に宿るころ

秋分 (しゅうぶん) 9月23日ごろ: 秋の彼岸の中日、昼夜がほぼ等しくなる日

寒露 (かんろ)   10月8日ごろ:野草に冷たい露がむすぶころ

霜降 (そうこう)  10月23日ごろ:早朝に霜が降りるころ

また、この『二十四節気』をさらに3等分した、『七十二候』という分類があり、それぞれの名称はさらに趣深く天候や生物、自然をより濃密に表現しています。

今の季節は秋分と寒露の間。この間を『七十二候』で表すとこんな感じです。

雷乃収声(かみなりすなわちこえをおさむ)9月23日ごろ:夏の間鳴り響いた雷がおさまる時分

蟄虫坏戸(むしかくれてとをふさぐ)9月28日ごろ虫たちが冬籠りの支度をはじめ、土にもぐる頃

水始涸(みずはじめてかるる)10月3日ごろ稲刈りの季節、田んぼ水を抜く頃

鴻雁来(こうがんきたる)10月8日ごろ雁が渡ってくる頃

菊花開(きくのはなひらく)10月13日ごろ菊の花が咲き始める頃

蟋蟀在戸(きりぎりすとにあり)10月18日頃戸口で秋の虫が鳴く頃

毎日を箱の中で過ごしていると感じる事のできないこの感覚。一杯のお茶で心を潤し、仕事も家事もしばし離れてさあ扉をあけてお出かけしましょう。四季のある国にすごすありがたさ。感じる心のゆとりをもっていたいものですね。

澄み切った秋空のように、皆様のお気持ちが爽快でありますようお祈り申し上げます。

秋の行楽なら京都がおススメ。ル・ノーブルにもお立ち寄りください。

四季ある国日本の文化を守る伝統の技

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。