「用の美」とテーブルウェア

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、サステナブル・重陽にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

「新型コロナウイルスの発生により、消費はエッセンシャルな方向に向かっていく」というものです。

昨年から将来について考える時間が増え、

仕事やプライベートにおいてもできる範囲でチャレンジしてきた1年。

世の中への理解の解像度を上げようと、

今年の3月から定期的にクリエイティブに関する講座を受けているなか、

気になる意見を耳にしました。

エッセンシャルな消費とは2つあって、ひとつは生きていくために必要不可欠な消費。

もうひとつは本質的な消費、つまり絶対に自分にとって必要だと感じる消費です。

例えば、皆さんがル・ノーブルで好きなブランドの洋食器を買うのも、

依然としてミシュランの星付きの店の予約が埋まっているのも、

後者の意味で一人ひとりにとってエッセンシャルだからでしょう。

このエッセンシャルな消費は、自分にとって意味を感じる消費とも言い換えられます。

代表的なのはSDGsの流れで加速しているエシカルな消費。

消費を通じて、世の中に貢献する価値を感じているのです。

多くの人は知らず知らずのうちに「何を買うのか」だけではなく、

「どこで買うのか」「なぜ買うのか」といった意味を大切にしています。

そして、本質的な消費も、意味を持つ消費も、

モノを購入する観点でそのどちらにも共通しているのは

消費者である私たちが“長く、丁寧に扱いたい”と感じるものを手に取っていることです。

テーブルウェアでいえば、「用の美」を感じられるアイテムを選ぶことも

その選択のひとつといえるでしょう。

用の美とは、民藝という概念を確立した柳宗悦から生まれた言葉です。

単なる生活道具として使われていた日用品が、

道具としての機能性と飾らない美しさを兼ね備えていることに気づき、

用の美という新しい価値を見出しました。

一見すると、まるで普通のデザイン。

他にも似たようなテーブルウェアがあり、

どんどん新しい機能やデザインのプロダクトが生まれているにもかかわらず、

何年も捨てられずに大切に使い続けているものってありませんか?

そうしたモノにはきっと作り手の思いやりが詰まっています。

作り手は使用するシーンを想像しながら丁寧に製作する過程で、

本当に必要なモノ・コトを考え抜いて、無駄を削ぎ落としながら、

ミニマルに機能と美しさを両立させているのです。

そのことを「用の美」が備わっているというのでしょう。

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ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。