お箸は何本持っていますか?

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当前田が、箸・お箸・晩秋にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

お箸は何本持っていますか?私は、自分用のお箸を4本持っています。7年前に購入した塗り物の(当時の私にはちょっぴり奮発した)もの、バーゲンで使いやすそうだったので購入したもの、日本のカトラリーメーカーが出しているステンレス製のもの、京都で購入した先の細い竹製のもの。

毎日、当たり前のように使っているお箸。お箸はいつから使われているのでしょうか。日本で初めて新しい箸食制度を、朝廷の供宴儀式で採用したのは、聖徳太子であるとされています。これは推古天皇が、607年に小野妹子を中国に派遣し、一行が箸と匙をセットにした食事作法によって、盛んな歓待を受けました。翌年、妹子は隋使ら12名と帰国し、日本はまだ手食方法であったため、急いで妹子らが受けた中国の作法をまねて、宮中で初めて正式な箸食作法による、歓迎の宴を催すことになりました。奈良時代になると宮中の儀式や供宴には、中国式の会食作法が採用され、「馬頭盤」にのせられた金や銀の箸と匙が用いられるようになりました。そして8世紀の初め、奈良の都・平城京造営の中で箸食制度も本格的にすすめられ、従来の生活習慣であった手食から箸食へと、生活革命が行われました。それから箸文化は、塗り箸の発展や、科学塗料のお箸の大量生産、欧米食文化の発達による箸離れなど、日本人とのかかわりに大きな変化がありました。最近では、またお箸が見直され、エコの面で「携帯箸」の流行や、料理専用のお箸(納豆箸、うどん・そば箸、魚箸など)が作られるようになり、百貨店でもたくさんのお箸をみることができます。

毎日使い、口にするお箸・・使いやすく、丈夫で長持ち、安全で、健康に配慮したお箸を選びたい・・。それには漆塗りや天然木素材のものがおすすめです。漆の塗膜にはコーティング剤として科学的にも素晴らしい性質があります。塩酸・硫酸などの酸類に侵されない、アルカリにも侵されない、金や白金などを溶かすときに使用される王水にも侵されない。防水性があり、防腐性、防虫性がある。保温性に優れ、熱の伝導性が低いために、手には程よい温かさが残る(伝導性の高い順は、磁器・・陶器・・漆器)などの特性があります。

みつろう仕上げというのもあります。みつろうとはミツバチの腹部から分泌される「ろう」で、口紅の原料等にも使われている安全な素材で、その「みつろう」で、つや仕上げをして木の風合いを活かします。天然木ではこれらの表示が多く見られます。黒檀(こくたん) 木肌が細かく、重く、硬いという特徴をもち、磨くほどに金属のような 光沢を発する。古くから装飾・工芸品・楽器などの素材として使われています。紫檀(したん) 過酷な熱帯地方に多く生息するためか、耐久性に極めて優れ、家具等に多く使われる。かつてはその色素が、香辛料として取引されていました。竹(たけ) 箸は竹の者と書きます。最古の箸の素材は竹でした。竹の成長には勢いがあり、日に30cm伸びるともいわれています。竹は油を通さず、弾力性があり、折れにくく曲げに強いといった性質から、菜箸として大いに利用されています。

お箸の正しい持ち方は、まずは正しいサイズから・・自分に合った箸のサイズがあるのをご存知ですか?親指と人差し指を直角に広げて、2本の指の先端部を結んだ長さの1.5倍です。おおまかには足のサイズと同じ長さです。お子様の成長に合わせてサイズを選んであげてください。

お箸のことを書いていて、幼い頃のことを思い出しました。私たち3人兄弟にとって、夕方の食卓は恐怖に満ちていました。正しいお箸の持ち方ができないと、母から厳しく怒られました。母の隣に座っていた弟は、姿勢も悪いとぴしっとやられ、妹をお菓子で買収し、私の隣の席にきたのを覚えています。その甲斐あって、正しく持てるようになり、お箸が嫌いにならずに済みました。

毎日使う何気ない道具と思っていましたが、大事な日本の文化であると再認識しました。これからも大切に扱っていきたいです。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。