情報の断捨離

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、立春にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

仕事のスケジュールに無理があり、急いでタクシーに飛び乗った日から、私は“情報の断捨離”を決意しました。

年明けの仕事始めから続いた忙しない心が、ようやく落ち着いてきた1月末。

そのきっかけは、新しい広告の形として注目を集めているタクシーCM。例えば、「ビズリーチ!」や「ビーダッシュ!」と社名を叫びながら指を立ててポーズを取り、社名×ポーズのイメージを残す、あの広告です。

次々に新しい広告の形が生まれ、SNSやメディアをはじめ情報の流通経路も増えていく一方で、“情報疲労”という言葉も誕生しました。大手リサーチ会社が1万人にアンケートによると、なんと70%以上の人が「情報が多すぎて困っている」と感じているそうです。

もはや、情報包囲網の現代社会。逃れるためには、自ら情報を絶つしかありません。そこで、せめてもの対抗手段として、“SNS断ち”を決意したのです。すると、純粋に時間が増え、他人と比べて生じる焦燥感も軽減され、気持ちが軽くなったような。少しずつ、その変化を実感しています。

そんな中でも、価値があると信じ、能動的に手に入れる情報もあります。例えば私なら、芸術文化をルーツとしたWebメディア「CINRA」の映画考察記事。鑑賞後には、必ずその作品の記事に目を通しています。理由は、監督や脚本家の人生観も含めた考察がなされていて、自分だけでは得られなかった新しい視点をもらえるからです。時には、作り手にインタビューした内容が掲載されていて、作品から自分が受け取ったメッセージに深みを与えてくれることも。

このような“発見”や“共感”を生み出す情報は、いわば触媒のようなもの。消費者と消費者の間に入り、消費者同士のコミュニケーションを促進します。つまり、単に消費されるのではなく、誰かに話したくなる“ストーリー”が込められているのです。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。