この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のバイヤー・米山が、グラス・ライト・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
早いもので今年も、4月1日を迎えます。新しい期、学期の始まりです。みなさまは、もうお花見に行かれました?
京都では、4月1日を皮切りに祇園歌舞練場での「都をどり」も始まり、あちらこちらで夜桜のライトアップも催され、大勢の観光客でにぎわいつつありますが、主役の桜の開花は遅れているようです。。。見ごろは来週辺りでしょうか…?
日本の桜は特に開花時期が短いので、お花見のタイミングを逃さないようにするのは大変ですよね。でも、お家でお花見も粋なもの。テーブルに桜の花びらを散らしたり、小物や器で気分を盛り上げてゆったりとお酒を楽しんで見てはいかがでしょう?ル・ノーブルおすすめのグラスなどは、こちら/////////////////////////////////////////
そこで、今回のコラムは、私も大好きな「日本酒」にスポットライトを当てたいと思います。
日本酒は苦手とおっしゃる方でも、これならいける?■日本酒カクテルはいかが?
日本酒(吟醸酒など)——- 60ccグレープフルーツジュース— 45ccカットグレープフルーツ—– 1個
(作り方)1.日本酒を冷凍庫に入れて凍らします。2.グラスに1.を入れ、グレープフルーツジュースを注ぎ入れ、グレープフルーツを飾り、ストローを添えてできあがり。※ 凍った日本酒は、頭が出るように中高に盛ると◎。※ にごり酒に砂糖を加えて凍結するとシャーベットになります。
日本酒は、色も味わいもクリアなので、カクテルのベースには最適なのです。お洒落な器と合わせて考えると楽しみも広がりますね。
意外と知らないウンチクが…■日本酒の起源は?
一説では、私たちの祖先は、約5千年前の縄文時代中期より酒を造っていたとあります。これは、米で作る酒ではなく、山葡萄のような果物、ドングリなどの木の実を発酵させたものであったようです。
3世紀に中国の史家、陳寿によって編纂された『魏志東夷伝(ぎしとういでん)』(魏志倭人伝)の中には、<喪主泣シ、他人就ヒテ歌舞飲酒ス><父子男女別 無シ、人性酒ヲ嗜ム>といった酒に関する記述や、稲作がされていることも書かれているので、もしかすると卑弥呼の邪馬台国をはじめとする倭の国々で米の酒を食していたかもしれません。
「お屠蘇(おとそ)」は、元旦にいただくと一年中の邪気を避けるといわれますが、同じ時代、中国で言えば三国志時代に、魏の国の名医と呼ばれた華陀(カダ)という人が、「屠蘇散」というものを初めて作り、曹の武帝に献上したことが始まりといわれています。「屠」とは殺すという意味、「蘇」とは病を起こす鬼の名前で、要約すると細菌を殺すという意味らしく、日本の古い百科事典の「和漢三才図絵」や古い医学書の「医心方」にも「薬草の山椒、防風、桔梗、白求などを細かく刻んで、大晦日の夕方に酒の中に浸しておくと元旦の朝に出来上がる」という記述があるように昔から予防医学的な効果も実証されていたのですね。
神の酒から大衆の酒へ■日本酒の歴史
【弥生時代】~日本酒の起源~日本において本格的な稲作が始まり、現代にまでつながる文化、社会の基礎ができた時代。西日本の九州、近畿での米を主体とした酒造りがその起源と考えられています。この頃は、加熱した穀物を口で噛む「口噛み」という最も原始的な方法が用いられていました。酒を造ることを「醸す」といいますが、この語源は「噛む」によるといわれています。この「口噛み」の酒は『大隅国風土記』等に明記され、「口噛み」の作業を行うのは巫女に限られており、酒造りの仕事の原点は女性からであるということが伺えます。
【大和時代】~「神々の酒」・「天皇の酒」の時代~国内に広まった酒造りは『古事記』『日本書紀』『万葉集』『風土記』などの文献に見られます。また「サケ」という呼称ではなく「キ」「ミキ」「ミワ」「クシ」などとさまざまな呼ばれ方をされていました。島根県の出雲地方に、ヤマタノオロチを退治する際にスサノオノミコトがオロチを酔わせて退治したという「八塩折の酒(やしおりのさけ)」の逸話が残っています。古代の酒は食物的な要素が強く、固体に近い液体を箸で食べていたようです。
【奈良時代】710-794年 ~朝廷のための酒造り~周の時代の中国で開発された麹による酒造りを百済から帰化した“須須許里”(すすこり)が伝承したと古事記に記述が有るように、米麹による醸造法が普及するようになりました。造酒司(さけのつかさ)という役所も設けられ、醸造技術が一段と進んでいったことがうかがい知れます。
【平安時代】794-1192年 ~ハレの日の酒~平安時代初期に編纂された『延喜式(えんぎしき)』には「米」「麹」「水」で酒を仕込む方法、さらにお燗に関する記載が有るようです。この時代の政治はすなわち祭事であり、その際のハレの日の食事として酒は不可欠のものでしたが、宗教儀礼的要素が強く、ひんぱんに庶民の口に入ることはありませんでした。また、この時代から発展していったものに「僧坊酒」があります。中世の寺院で醸造され、非常に高い評価を受けました。高野山の「天野酒」(あまのさけ)、奈良、平城の「菩提泉」(ぼだいせん)が有名です。
【鎌倉・室町時代】1192-1573年 ~経済の発展と共に~平安末期から鎌倉、室町にかけて都市化が進み、商業が盛んになるにつれ、米と同等の経済価値を持った商品としての酒が流通します。朝廷の酒造組織にかわって寺院、神社が酒を造るようになり、京都を中心に造り酒屋が隆盛し始めます。京都の「柳酒屋」「梅酒屋」などが大手の酒屋として記録に残っています。
南北朝から室町初期の『御酒之日記(ごしゅのにっき)』によると、化学知識などの学問がないこの時代に、今でいう麹と蒸米と水を2回に分けて加える段仕込みの方法、乳酸醗酵の応用、木炭の使用なども記されています。
奈良では大量生産の先がけとなる十石入り仕込み桶が製造され、酒は寺院酒から地酒の時代へと移行していきます。数々のローカルブランドが誕生し、地域間、酒質、製造量 の競争は激烈を極め、多様化が促される中で、今日の清酒造りの完全な原型ともいえる「諸白(もろはく)仕込み」が完成していきました。
【安土桃山時代】1582-1600年 ~大量生産への挑戦~大桶を作る技術の完成によって、瓶や壺で少量ずつ仕込んでいた頃よりも、生産量が飛躍的に増大し、まさに近代清酒工業の基盤が確立されることになってきました。また、この時代には異国文化の到来と共に、蒸留技術が伝来し、日本における蒸留酒(焼酎)造りの原形ができています。
【江戸時代】1603-1867年 ~庶民の酒へ~江戸時代初期頃までは、新酒(しんしゅ)、間酒(あいざけ)、寒前酒(かんまえざけ)、寒酒(かんざけ)、春酒(はるざけ)と1年間に計5回仕込まれていましたが、中でも冬期における「寒造り」が最も優れていることが明らかになり、優秀な酒造りの技術集団の確保がしやすい時期であることと、低温・長期発酵といった醸造条件の上からも重要視されるようになりました。
また、保存性をさらに高めるための火入れ法(低温殺菌法)や、歩留りを良くすると同時に香味をととのえ、火落ち酸敗の危険を低くする柱焼酎の混和法(アルコール添加)など、当時ヨーロッパにさえ見当たらない画期的な処理技術が開発されています。1698年(元禄11年)には2万7,000件もの酒造場が有ったとの記録も有ります。。
天保年間には、水質の重要性が広く知られるようになり、灘の宮水など、鉄分が少なく、有効ミネラルに富んだ水が酒造りにいかに重要であるかが実証されることとなります。
江戸中期には、海運の発達や問屋組織の確率と共に、酒造りが「地の酒」を超越して巨大な装置産業へと発展していきます。最も台頭してきたのが灘の酒であり、樽廻船という船に積み込み江戸へ運ばれ、庶民の絶大な人気を誇るようになりました。
【明治時代】1869-1912年 ~管理される酒~新政府のもと富国強兵策がとられ、国は税金の収集を強化し始めます。「酒税」もその対象となり、自家醸造が「密造」とされ完全に禁止になります。明治15年には、酒造場が1万6,000件、生産量は55万klだと記録されています。
それまで木樽や小壺に入れ量売りをされていましたが、明治19年にビン詰めが行われ始め、明治42年には1升びんが開発されます。同時期に、速醸法が編み出され、国立の醸造試験所が開設。化学理論が酒の製造に不可欠の要素として広く認識されるようになります。【近年】1900-現代 ~酒造りの復興・こだわりの酒へ~大正時代に1升ビンが普及し、昭和初期に堅型精米機の発明、温度管理や微生物の管理が容易なホーロータンクの登場、6号酵母の採取、分離、純粋培養といった技術革新が相次ぎ、昭和10(1935)年頃までに酒造に近代化・効率化を迎えるのに必要な計器機器類はほぼ出揃いましたが、昭和14年に米の統制が始まり精米が制限されるようになると、酒造場の統合が始まり生産量 が通常の半分に制限される様になりました。
昭和18年には特級、1級、2級という級別制度が始まります。その後、大戦を経て、各地における酒造りの復興が始まり、平成元年に級別制度が見なおされ、平成4年に全廃となります。そして特定名称酒等のような現在のスタイルに変更され、日本酒新時代を迎えるようになったのです。
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