この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当・松田が、マイセン・バカラ・ノリタケにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
その唯一の対抗手段は、何かに夢中になっていることだと思っていました。でも、それだけでは少し足らないみたいで。
何事にもいつか“飽きる”瞬間が来る。
つい先日、Netflixオリジナル番組で『国民的アーティスト×人生がドラマ化された芸人』の対談企画が放送されていました。その番組内で、芸人さんが「仕事も順調で家族にも囲まれて、毎日が幸せだけど、つまらない」と言ったことに対し、アーティストが「飽きたんじゃないですか?」とコメント。
さらに続けて、「現在と未来のバランスが重要だと思っていて。いわゆる、現在で幸せを感じていると出るセロトニンと、未来への期待感を感じたときに出るドーパミン、この2つのバランスを意識して生きていきたい」。
このやり取りが私にとってはとても新鮮でした。確かに、現在で夢中になれることがあっても未来が見えないと不安になったり、未来の夢物語だけで現在がおろそかになると虚しさを感じたり。
暮らしの中で、日常を楽しむ工夫や、小さくても良いから達成したい目標があれば、飽きることなく前に進んでいけるのかもしれない。目の前にかかっていた霧が晴れたような気分です。
それと同時に、多くの人がモノづくりに熱中したり、憧れたりする気持ちが分かったような気がします。完成形を目指して、少しずつ工程を重ねていく中で、きっとセロトニンとドーパミンの両方が出ているはず。
器づくりも同じ。例えば、ろくろを回す陶芸体験ではなく、一定の期間内で数回に渡り最初から最後まで体験できる陶芸スクールならば、この気持ちが味わえそう。
器づくりの工程は、「完成形のイメージ」「原料選び」「成形」「乾燥」「仕上げ」「素焼き」「釉薬掛け」「絵付け」「本焼き」「窯出し」と実に細かい工程に分かれています。
こうした工程を1人で全部やってみる、という経験は日々に充実感をもたらしてくれるのかもしれません。モノが好きな人は、モノづくりを自身で体験することで、より一層その深淵を垣間見えるようになれることでしょう。
どの洋食器にもブランドのオリジナリティが存在するなかで、“器づくりの工程”という言葉を聞いて直感的に名前が思い浮かんだブランドを今回はピックアップしました。
ブランドを象徴する理想の白を追求し続けてきたノリタケ。独自の原料・製法を厳選し、料理が映える青みと黄みの程よいバランスと上品な白が際立つ艶やかな釈面に特徴があります。ブランドを代表する「白色硬質磁器」と「ボーンチャイナ」の美しさには思わずうっとりしてしまいますね。
器づくりの工程を超え、洋食器の歴史が詰まったマイセンからは、「21世紀のマイセン」を代表する波の戯れホワイトをピックアップ。ヨーロッパ初の白色磁器を生み出した名窯であるという歴史に裏付けられた自信とただよう品格は、人々を引きつけてやみません。自然をテーマにした流麗なフォームに水面に生まれるさざ波のようなレリーフがオリジナリティ満載のアイテムです。
クリスタルと言えばバカラを思い出すほどに、原料選びと製法に特徴を持つブランド。今でもフランスで製造されるクリスタルの約半数はバカラの製品だとか。「完璧を維持する」というポリシーのもと、高品質で透明感のある手づくりクリスタルを製造。計算され尽くしたバランスの美しさと、力強さから、荘重な雰囲気を感じさせます。
身近な出来事で考えれば、オンラインショッピングでも、選んでいるときにはセロトニンが、届くのを待つ間にはドーパミンが出ていそう…と、このコラムを書きながら、数日前に買い物カゴへ入れたままだった器を買うことに決めました。何だかいつも以上に到着が待ち遠しい気分です。
※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。









