この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当・松田が、ノリタケ・マイセン・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
文化財保護法によると、文化財は大きく6つに分かれています。「有形文化財」「無形文化財」「民俗文化財」「文化的景観」「伝統的構造物群」と「記念物」。
史跡ってご存知ですか?
先日、仕事で大阪城や四天王寺、難波宮などの史跡を取材で巡っていたのですが、改めてその歴史に圧倒されました。教科書や一般教養として、各史跡の歴史はテキストでおおよそ理解していましたが、当時の時代背景に想いを馳せながら、目の前にある景色やスケールに出来事を重ねると、まさに今まで残っていることが奇跡であるかのように思えてきます。
史跡の存在は現在に至るまでの歴史が繋がっている証。何百年以上も昔に始まった伝言ゲームが事実であることを証明しているのです。
そして、日本洋食器界の生きた歴史『ノリタケ』も史跡と同じように、その存在自体が日本製洋食器の発展を物語っています。その歴史はたった1枚の真っ白な洋食器から始まりました。
「西洋人にできて日本人にできぬわけはない」と、日本の技術力を証明したい愛国心と、おそらくは純粋に目の前に置かれたその器の美しさに心を奪われたのでしょう。10年以上も取り憑かれたように研究開発を重ね、1914年に日本で初めて洋食器ディナーセットを作ることに成功。100年以上にわたり、デザイン性の高さと確かな品質が評価され、一般家庭の食卓での普段使いはもちろん、一流ホテルやレストランでも愛用されています。
この時代の日本を考えれば、マーケティング・リサーチの文化は乏しいはず。きっと、ビジネス視点よりも、「作ってみたい」という衝動をもとにモノづくりに取り組んでいたのでしょう。クリエイティブへの情熱により、一人ひとりの作り手に物語が生まれ、商業化が進んだ今の時代でも愛され続けている器には感動すら覚えます。市場規模や消費者ニーズを踏まえて「どんな商品が売れるのか」を考えるだけではなく、「こんな商品を自分の手で作ってみたい」「こんなものが世の中にあれば良いのに」という情熱が、時に受け手の予想を遥かに上回る結果を生み出すのだと実感させられますね。
オールドノリタケのエレガンスを今に受け継ぐ白い食器、「cher blanc(シェール ブラン)」。これはフランス語で「親愛なる白へ」という意味。毎日使うたびに愛着のわく日常に欠かせないものであって欲しいという願いと、ノリタケのルーツである美しい白色から名付けられました。生地は同シリーズのために、100年以上にわたる食器づくりで積み上げてきた技術を用いて新しく開発した磁器で、なめらかで美しい純白な生地色をしています。
マリー・アントワネット王妃がこよなく愛した幻の工房 “レーヌ窯” コレクションを現代に。機能性・効率性が重視される現代では忘れられがちな価値観、それは人々が紡いできた時代の文化や歴史を共有して受け継いでいくこと。陶磁器を通して過去と現在の時をつなぎ、この先の未来へと価値をつないでいく、この想いから誕生した当社オリジナルのプロジェクトです。
1739年に白いガマズミの花をモチーフに作られた立体的な「スノーボール装飾」を、テーブルウェアの平面レリーフに移した新しいシリーズ「ロイヤルブロッサム」。18世紀に生まれたロココの華、「スノーボール装飾」は、マイセン磁器の創始者、アウグスト強王の息子、アウグスト3世が最愛の王妃、マリア・ヨゼファへ「枯れない花を贈りたい」という強い願いから誕生しました。スタイリッシュな白磁に咲く緻密な花模様は、上品で優雅であった高貴な時代を彷彿とさせ、マイセンの至高の匠の技が現代の食卓を華麗に演出します。
洋食器の世界をより堪能するために、今年の4月に出版された『あたらしい洋食器の教科書 美術様式と世界史から楽しくわかる陶磁器の世界』という本が気になっています。一つひとつの器に施された美術様式や知られざる歴史を知ることで、もっと器を楽しめると到着を待ちわびているところ。洋食器を「見て」「知って」「使う」、この奥行をこれからも味わっていきたいと思います。
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