洋食器の歴史~ コンテンポラリー様式

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、北欧・歴史・夏にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

これまでにはない自由な発想のもとで今日までに多彩な作品が生み出され続けています。

前回の「〜洋食器の歴史〜 ネオ・クラシック様式」に引き続き、

今回はコンテンポラリー様式についてご紹介します。

辞書によるとコンテンポラリーとは、“現代の”や“今日的な”という意味です。

様式としてのコンテンポラリーを具体的に翻訳するなら、

“絶えず進化する現代的なスタイル”という言葉が適切でしょう。

コンテンポラリーはよくモダンスタイルと混同されますが、

2つは本質的に異なるものであり、時系列でみると、

モダンスタイルの後にコンテンポラリーが生まれています。

モダンスタイルをとはあくまで、“確立された近代的なスタイル”。

1930年以降、アメリカやイギリスを中心に

「脱装飾」「機能的」「合理的」を目指して生まれた様式です。

人工の技術を取り入れたシンプルなデザインを軸に、

ニューヨークモダンやイタリモダンをはじめ、

今なお支持を集めるスカンジナビアモダン(北欧モダン)もこの時代に生まれました。

モダンスタイルをさらに発展させ、洗練させた様式です。

異素材を組み合わせたり、様式をミックスしたり、

あえてキーワードを挙げるなら、「ミニマリズム」や「自然回帰」などが当てはまるでしょう。

トレンドのサイクルも短く、スタイルも多様化しているコンテンポラリー様式。

柄や模様などのデザインはもちろん、器の形状ひとつとっても、

自然を想起させる有機的なものからアーティスティックなものまで、

料理の進化やクロスオーバー化に伴い多彩な洋食器が作られています。

例えば、近年はたっぷり広めのリムをよく見かけると思いますが、

必ずしもその仕様がコンテンポラリーという訳ではありません。1つひとつの器で構成されるテーブルコーディネートや、

盛り付ける料理によっても印象は変わります。

その奥行きまで踏まえ、時代の流れに合わせて、

“絶えず進化する現代的なスタイル”こそ、コンテンポラリー様式の特徴といえるでしょう。

コンテンポラリー様式とはどんなものなのか?

この点をさらに分かりやすくするために、特徴的な洋食器をいくつかご紹介します。

近年の同ブランドのテーブルウェアは彼女がデザインしているため、

自由で制約のない形と新しい技術を組み合わせた独創性が感じられます。

伝統的なイギリスのエッセンスを盛り込みながらもコンテンポラリーなデザイン。

水彩画のような繊細なシノワズリ調(中国趣味の美術様式)の絵柄が目を引く美しさで、

インパクトのあるアーティスティックなひと皿です。

抑制されたジャズのグルーヴ感に、クラシックギターの甘い調べ、

そしてささやくように歌う独特の奏法が重なり合うボサノバ。

その柔らかなサウンドはダンス界にも瞬く間に影響を与え

コンテンポラリークラシックとして新たなジャンルへと発展しました。

「バロック様式」「ロココ様式」「ネオ・クラシック様式」「コンテンポラリー様式」を紹介してきました。

何事にも当てはまりますが、好きなモノやコトの歴史を知れば、

今まで以上にそれらを味わえるようになり、より一層好きになっていくものです。

記事を読んでくださった方々が、もっとテーブルウェアを好きになっていますように。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。