一生に一度の成人式

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当松田が、ハレの日・ギフト・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

成人の日が持つ意味は「おとなになったことを自覚し、みずから生き抜こうとする青年を、国民こぞって祝いはげます日」というものです。

2000年まで1月15日は成人の日でした。

歴史を辿ると、成人式の始まりは1946年に埼玉県蕨市で開催された青年祭にあります。

第二次世界大戦が終わり、日本全体が希望を見失っていたなかで、今後の時代を担う若者を励ますために行われた祭りのこと。

この取り組みはすぐに全国へと広がり、1949年に旧暦の満月の日である1月15日が成人の日に制定されたのです。

現在は、3連休以上の期間を増やして、観光業の活性化を図るハッピーマンデー制度の影響もあり、成人の日は1月の第2月曜日に変更されました。

ただ今年は、緊急事態宣言をはじめ新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、成人式が中止・延期またはオンライン開催となる地域も続出しました。

大切な晴れの日を例年通りの形で迎えられない新成人の数は数万人に上りました。

特に、振袖の準備に高額な費用を要し、袖を通すことを楽しみにしていた女性陣は頭を抱えたことでしょう。

そんななか、老舗の振袖販売・レンタル会社の対応に心打たれました。

「あなたのハタチに、『また来年ね』なんてないから。」というキャッチコピーを掲げ、レンタルしていた人に振袖を進呈することを決断。

購入者には商品券をプレゼントして、成人式が延期になった人にはレンタル期間の延長を可能としています。

お金のことだけを考えると返金対応が当たり前のなか、進呈する点が大きな違いに。

自宅などで振袖を着てもらうことで、“振袖に触れる希少な機会を失くさないで欲しい”、“礼装である振袖の文化を失いたくない”という強い意志を感じました。

成人式や結婚式は一生に一度の思い出。その瞬間にしか残せません。

コロナ禍の状況がいつまで続くのかは分からないですが、せめて大切な節目はできる範囲で祝いたいですね。

従来とは形が変わっても、きっと大切な人を祝いたいという気持ちは変わらないはずですから。

ちなみに、1月15日は小正月でもあります。

こちらも例年通りとはいきませんが、左義長・どんど焼きといった伝統行事や小豆粥やぜんざいなど行事食を楽しみながら、今年の家内安全や無病息災を祝ってみてはいかがでしょうか。

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

ABOUTこの記事をかいた人

「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。