この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のクリエイティブ担当・佐々木が、ティーカップ・ティータイム・夏にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
紅茶の国際的な産地といえば、まずインドのアッサム地方やダージリン地方が浮かびます。
2020年8月1日コラム
この両名産地に日本人で初めて赴いた人物をご存じでしょうか。
多田元吉という「元サムライ」です。
多田は旧幕臣で、明治維新後、徳川家から払い下げられた静岡県丸子で茶業を始めます。
当時明治政府はお茶を外貨獲得のための輸出品にしたいと考えていましたが、そもそも主な輸出先である欧米では日本とは異なり紅茶が人々の嗜好でした。
紅茶の研究・開発の必要に迫られた明治政府は、質の高い茶の生産で知られた多田に白羽の矢を立てたのです。
多田は政府の役人に抜擢され、海外視察を命じられ、中国の紅茶産地の視察を経た後、明治9年にインドに赴きました。
インドではイギリス人による紅茶生産が盛んにおこなわれ、蒸気機械など最先端の設備も導入されていました。
インド奥地のヒマラヤ山麓にまさに命がけで分け入った多田は、現地を視察、設備の図面や茶の種子などを持ち帰ったのです。
帰国した多田は、まず高知県などで紅茶生産の指導にあたり、できた紅茶の見本を海外に送りました。
多田の紅茶は次第にその品質の高さを認められることになります。それを受けて日本政府は紅茶の生産に本格的に取り組むことができたのでした。
和紅茶はあくまで輸出用であったため、日本国内で広く飲まれてきたわけではないようです。
ですが、このところ和紅茶の魅力が注目されてきたように思います。喫茶店でも見かけるようになり、茶葉もインターネットなどで手に入れやすくなりました。
渋みが少なくて甘味が強く柔らかな口当たりの和紅茶は、やはりどこか日本的で、そこがまた新鮮な印象を与えてくれます。
日本製のティーカップはもちろん、海外ブランドのティーカップに合わせても、和紅茶は不思議な異国情緒を感じさせ、毎日のティータイムに新たな彩りを与えてくれそうです。
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