クリスマスにヤドリギを飾る

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のショップスタッフ由里が、ツリー・クリスマスにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

街はすっかりクリスマスムードですね。ツリーやイルミネーション、可愛い小物や音楽に囲まれると寒さや嫌な事も忘れ、心ウキウキ楽しい気分になりませんか?

日本ではキリストの生誕を祝うというより、年中行事になっているクリスマスですがあまり知られていないのではないかと思われる海外でのクリスマスの慣習について一つ、お話させていただきます。

日本ではクリスマスの飾りというとモミの木のツリーと柊(ひいらぎ)や松ぼっくりを使ったリースなどが一般的ですがアメリカをはじめ西洋諸国では「Mistletoe」という植物をツリーの装飾に使ったり、ボール状にしてリボンをあしらったものを家の中や玄関に掛けたりし、クリスマスと密接に結びついた植物と考えられています。

このMistletoe(ミッスルトゥー)初めて耳にされる方も多いと思いますがヤドリギというとご存じでは?漢字では宿木。寄生木、桑寄木とも書くそうです。西洋で使う慣習があるといえど、日本でもこのヤドリギはよく見かけられます。大地に根をはって生育するのでなく、名前から想像できるように他の樹木に宿り、その宿主の幹や枝から養分などを吸い取って生息します。ターゲットとなるのは桜、ブナ、ケヤキ、ポプラ、ミズナラ、栗などの落葉樹。真冬、宿主はすっかり落葉し寒々しく残った枝にヤドリギは青々と茂り春先に小さな花が咲き、その後実を付けます。

寒空の季節、お散歩やドライブに出かけられたら、落葉した大きなを見上げてみて下さい。木の枝の間にモコモコとしたボール状の茂みがあったら、カラスの巣ではなくヤドリギではないかと。一本の樹木に沢山宿っていることも。

何故そんな高い所でヤドリギが生息しているのか?繁殖は主にその果実を食べに集まってくる鳥によります。果実を食べた鳥が落とす排泄物が枝に付着したり、実を加え果実を食べたあとクチバシについた種子を手近な枝でぬぐう事で頒布されます。種子はガムのような粘着質で覆われており、樹皮に付着しやすい。付着さえすれば、後はじわじわと樹木の枝に根をはっていく。寄生して生きる植物の特質、生命力を感じます。

そんなヤドリギは様々な伝説や神話を持っています。その神秘性に最も影響を与えたのは北欧神話だと言われています。四大(元素)と呼ばれる「土・水・火・空気」から生成された万物でないヤドリギは「再生のシンボル」「永遠の命のシンボル」として神聖な不思議な力を持つものとして尊重されてきました。他にも雷除けや子供を守る魔除け、また冬の到来で森の木立はどれも枯れた葉を落としてしまい、森の木々に住めなくなって寒さに凍えた妖精達は、真冬でも葉をつけたまま耐えているヤドリギを頼ってその枝に移り住む、その枝を折って家に飾ることは妖精を家に招き入れることなるというファンタジーな伝説も。また、現実的な薬効も存在しており疾患の処置にも利用されているそうです。

それらの伝説から、クリスマスを祝う時期になるとヤドリギの小枝を吊るし、その下を通る時に幸福、安全、幸運を願うという慣習が生まれたといいます。

「ヤドリギの下でキスをしたカップルは幸せになる」というロマンティックな言い伝え、何かで見たり聞いたりした事ありませんか?未婚の男女達が幸せな結婚を願い始まったそうです。

アメリカ映画やドラマ、歌の歌詞にも引用されており東京ディズニーシーのケープコッドには、ミッキー&ミニーのメッセージと共にヤドリギスポットがあるんですって。ちょっと素敵ですよね。

まだまだ寒さは厳しくなりますが、年の瀬にキラキラ輝くイルミネーションに心温められながら2014年残る僅かな日を幸せにお過ごし下さい。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。