この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のバイヤー・李幸昂が、ラリック・ティータイム・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
私は芸術の秋を楽しんでおります。先日はとある博物館を訪れたのですが、紀元前からの陶磁器などが並ぶ中、数点ですがガラスでできたビーズやアクセサリーが所々で展示されており、それが逆に目を引きました。数千年前に作られたにも関わらずとても精緻な模様のビーズを見ると、遠い昔から現在まで続く工芸技術に驚きと感動を覚えます。
秋も深まり、日増しに寒さが身にしみるようになりました…
食欲の秋・芸術の秋・スポーツの秋、皆様はどのような“秋”をお過ごしでしょうか?
古くから続くガラスの工芸技法、中には一度途絶えた技術が復興・改良され現在に受け継がれたという数奇な技術もあります。 “パート・ド・ヴェール”と呼ばれるその技法はどの様な歴史をたどったのか…少し紐解いてみましょう。
“パート・ド・ヴェール”は、仏語”Pâte de verre”「ガラスの練り粉」という意味の言葉が由来で、その技法は紀元前16世紀にメソポタミアで発明されたと言われています。古代ローマ時代の紀元前1世紀に量産が可能な吹きガラスの技法が生み出されると、複雑な製作工程で大量生産には向かない“パート・ド・ヴェール”技法は断絶し、文献も残されていないために「幻の技法」と呼ばれていました。
19世紀末のアール・ヌーヴォー期にフランスの彫刻・陶芸家アンリ・クロが復興すると、ガレやドーム、ルネ・ラリックを始めとするアール・ヌーヴォー時代のガラス作家達がその技法を発展させます。しかし、作家達はそれぞれの技法を秘密にしたため、19世紀の技法の大半は再び失われるのです。1970年代に実験考古学のひとつとしてメソポタミア時代のパート・ド・ヴェール技法が復興され、現在はこれに改良が加えられた技法が伝えられています。
現在用いられている主な製造工程は、粘土やワックスを原型にして石膏型を作り、その中に砕いた色ガラスに糊を混ぜたものを詰めて焼成し、鋳型から取り出し、表面を磨いて仕上げる、というもの。多くの工程を経るため、とても手間がかかりますが、その分、細かな細工や多様な色付けも可能になるのです。
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