この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時の品質・配送管理・松宮が、新春・和・歴史にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
いよいよ年の瀬となってきました。皆様も年末のお忙しい毎日をお過ごしの事でしょう。
皆様は、はつがまと言われて何を思われるでしょう。
パソコンで検索して最初にでてくるのは、『初釜』:茶道の新年最初のお茶立てを指している言葉ですが、ここではやきものに関係した『初窯』について書いてみたいと思います。
陶芸のいわゆる初窯は字のごとく初めての窯への火入れを指す場合と、新年の初仕事を指す場合のふた通りがあると思います。
やきものの世界で、初窯に欠かせないもの、それは“ひだり馬”です。
これは、つまりは縁起物。福を招くものとされています。
由来は諸説ありそうですが、馬は右から乗るとつまずき、落ちると云われ縁起が悪いとされていました。馬は左から乗れば万事上手くいき縁起が良い、そんな意味を馬の字を逆さまに描いた文字に表したのでしょう。
現代のあらゆる技術は非常に進歩していて、当たり前の様に何事もこなし、流れていきますが、昔は最初から完全なものなんて何一つ無かったでしょう。
全ては何度も何度も失敗を繰り返し、経験を積むことで発見し、完成されていったのでしょう。やきものの窯も最初は全く良いものは出来なかったと思われます。現代の窯と違い耐熱、保熱は良くなかったはずだからです。
何度も何度も火を入れて窯自体が焼き締まることでより洗練された作品を作ることが可能になったと想像できます。
古い窯の中はビードロ状の灰(釉)が全体にこびり付いて、それが熱を保つ効果をつくっています。そこまで行き着くまでにいったい何度の焼成がされたのかと気が遠くなります。
いつかきっと凄いものをつくってやるぞという高揚感を持って幾多の職人が炎と向き合ってきたのでしょうし、初窯の縁起物はそんな先人の決心だったのでしょう。
初窯でひだり馬の描かれた縁起の良いうつわを作り、配ることで屋号を名乗り、お客様に力強くアピールしたに違いありません。
ただ、ひだり馬は初めて火を入れる窯でのみ作られる特別なやきものであることは間違いありません。もし骨董屋などでひだり馬のやきものを見かけられたら、そんなことを思いながら手に取って見てみてください。それを手にする人と自身の繁栄を願った作者の気持ちが少し感じとれるかも。
※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。







