この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のル・ノーブル編集部が、ティータイム・梅雨にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
6月です。日本は新緑の季節を迎えそろそろ梅雨に突入することでしょうか。今回のティータイムコラムは、私が住んでいるカリフォルニアからのお届けです。
カリフォルニア、というと太陽が光り輝くイメージがあるかもしれませんが、それはどちらかというと南の方、ロスなどでここサンフランシスコはちょっと違います。海に囲まれているせいで、この季節でも風は冷たく寒いくらい。上着に冬のコートを着ていても変ではないくらいの気温です。
さて、今日はそんなサンフランシスコからこちらですっかり定着しつつある日本酒、SAKEのお話をしたいと思います。(ちなみにアメリカで酒を注文する場合には「SAKE(サケ)」と発音しても誰もわからないので「SAKI(サキィ)」と発音してくださいね)
こちらで日本酒がブームとなって十数年。一体いつ頃お酒は海を渡ったのでしょう。
1987年10月14日付のニューヨークタイムズ紙に「約10年前、アメリカ人は大量の寿司を食べ始めた」という記事が掲載されました。
ということは1977年に寿司はすでにアメリカに渡ってきたということになります。日本酒の普及は日本食ブームと共に始まったので、やはり同じ頃にこちらに来たということになるようです。
当時、日本酒は「温めて飲む珍しいお酒」としてアメリカ人の興味をひきました。またアルコール度数の高いウィスキーやウォッカから、ワインへと移り変ろうとしていた時代だったため、日本酒もライスワインというカテゴリーで人口を増やしていきました。
1990年代半ばには日本酒はアメリカの一般家庭でも飲まれるようになり、より身近な飲み物としてスーパーなどでも見かけるようになり、SAKEは世界のお酒の中に名を連ねるようになったのです。
昔はHOT SAKEとだけしか認識されず、目にするお酒の種類も大手の酒造会社のものが多かったのですが、今回こちらに来て驚いたのはそのバリエーションの豊かさ。
小さな酒造会社、私も知らない酒蔵のお酒が棚にたくさん並んでいるのです。
ちょっと余談になりますが、アメリカはあの禁酒法の名残もあってかアルコール販売の法律がとても厳しく、たしか25度以下のお酒をSoft Liquer、25度以上のお酒をHard Liquerとして分けています。
どちらも販売までに登録などの手続きをするのはもちろんのことなのですが、Hard Liquerになると販売に至るまで多くの申請や審査の手続きを踏まなければならず、販売にこぎつけるまで半年以上というのが当たり前のようです。
そのためアルコール度数の高いお酒をアメリカで販売するときにはアメリカ用に度数を下げて製造するということも酒造メーカーによっては行っているようです。
ちょっと話しが横道にそれてしまいました。お話を戻しましょう。
いまアメリカで人気なのは冷酒。冷蔵庫で冷やして簡単に飲むことができるので白ワインの替わりとして飲まれることがあります。
また発泡酒やにごり酒は微炭酸でスパークリングワインと同じ感覚で飲めるせいか比較的好まれて飲まれているようです。
お酒といえば寿司レストラン、そんな方程式も今では崩れ新進気鋭の人気レストランシェフなどは自ら試飲をして日本酒とフレンチ・フュージョン・カリフォルニア料理のペアリングを積極的に行っています。
たとえばサンフランシスコ・ベイエリアの人気シェフの一人Bruce Hills氏。トップシェフである彼のいるレストランBRIXとPICOはZAGATやサンフランシスコベストレストラン100に必ず入る人気レストランです。
彼曰く、「オリーブオイルとお酒は喧嘩をしてしまうから一緒にはしないようにするんだ。それと日本酒と出す料理はできるだけ繊細な食材を使うようにしているよ」とのこと。日本をもっと知るために日本を訪れたりもしています。
またサンフランシスコで初となる日本酒専門店True Sakeも数年前にオープン。そのオーナーは大の日本酒ファンのアメリカ人でいまやサンフランシスコでは彼ほど日本酒をよく知っている人はいない、といわれるほど。
先日ブログにも掲載したSAKE EXPO。その展示会にも小さな酒造メーカーが自らの商品を手に来場者にアピールをしている姿を見て、並々ならぬ努力を感じました。
こうして外国から日本を見てみるとメイドINジャパンの職人の思いは伝統工芸品だけでなくお酒の世界でも感じます。
私たち日本人が気づいていない、当たり前に思ってしまっているものに海外の方たちが感動し自分たちの国に持ち帰りそれを取り入れる。
そうやって初めて私たちも、自分たちの国に実はこんなに素晴らしいものがあったのだと気づかされることが多々あるような気がします。
サンフランシスコで日本酒をはじめ日本文化の人気を目の当たりにして海を渡って改めて自分の国の持つ素晴らしいものに感謝と畏敬の念を表わさずにはいられません。
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