ティアラのお話

この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のショップスタッフ南村が、結婚祝い・歴史・七夕にまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。

ティアラという言葉の響きは 女性の心に憧れと華やぎをもたらしてくれます。

ティアラという響きから何をイメージしますか?舞踏会、ウェディング・・・夢物語の 華やかな世界、誇りに満ちた美しさ・・・正装した女性の頭上に輝くティアラ、その始まりは?

ティアラの歴史1:エジプト~ギリシャティアラの起源は古く古代エジプトにさかのぼります。紀元前1000年頃の王族や貴族の墓所で 敬意の印としての金のティアラが見つかっているのです。その後古代ギリシャの金細工師は神々への敬意を込めて、シンボルとなる植物のリースを神像にかぶせました。

今も月桂樹のリースがスポーツや音楽の栄誉として授与されるのは芸術と詩をつかさどったアポロが月桂樹と結びつく神様だったからですね。

ティアラの歴史2:ローマ時代その後ローマ時代になると その髪飾りは役割を変えていきます。神様への結びつきを表すものからローマ帝国の権威の象徴となったのです。ローマ帝国皇帝は数々の勝利の印として月桂樹のティアラを身に付け、またその権威を象徴する為に宝石をちりばめた金の王冠を冠ったのでした。

ティアラの歴史3:ヨーロッパの王室でその後の封建時代、 ヨーロッパの王室でティアラは女性達の最も大切なジュエリーの一つとなりました。まさにその身分を表すためのものとなったのです。

特にイギリス貴族は一族のジュエリーを代々受け継ぐこと多く、レディダイアナが皇太子との結婚式で身につけられたものは1767年にモンターギュ子爵夫人のために作られたものでした。一方フランスではティアラがあまり存在しませんでした。それはフランス女性が宝石を飾った花やエイグレットを好んだからとか。エイグレットとは羽根を使った髪飾りですが、あのマリーアントワネットには そちらの方が似合いそうですね。

ティアラの歴史4:ナポレオンの登場さてその後フランス革命の後に登場したナポレオン。彼はティアラを権威の象徴として利用しました。彼は月桂樹の王冠を着用し、宮廷の女性達にティアラの着用を命じたのです。ルーブル美術館に展示されている(今回のティアラ展でも参考展示ありました)「ナポレオンの戴冠」という絵画にもジョセフィーヌ皇后を始めとした女性達全員がティアラを身につけています。

それはまさに特別な一族であることを示すもの、地位や富、美しさを認めさせる為の物でした。

ティアラの歴史5:ナポレオンのその後ナポレオン帝国が終わりを告げ、 ティアラはさらにその意味を広げ、多くの女性を飾っていきました。19世紀に入るとさらに富裕層の女性達にも広がり、アメリカの女性達にも広がっていきました。この時代のティアラがデザインも豊富で華やかなのは、プラチナの利用によるもです。重い金から、より軽く繊細なプラチナの利用によってダイヤモンドの魅力を最大限に引き出せるようになったからです。プシュロンやショーメ・カルティエといったパリのメゾンがロンドンに進出し数々のティアラを制作しました。

ティアラの歴史6:第一次世界大戦後 現在古い秩序が変わりつつある中で、ティアラよりもバンドーと呼ばれる髪紐(頭をくるっと巻いたベルト)が流行し人気を呼びました。2度の大戦の中、ティアラは大切にしまいこまれてしまったのです。そして現在イギリスでは政治的な理由から、宮廷舞踏会でティアラは着用されなくなりました。今ではウェディングの大切なアクセサリーとして、その姿をとどめる他ありません。ティアラ着用の舞踏会、その華麗で華やかな姿はスクリーンで見るほかないのかもしれませんね。

【最後に】展示されている100点ものティアラはそれぞれのドラマを持っています。結婚の贈り物として作られたもの、遺産として受け継がれたもの、飛行機事故の中でも無傷で発見されたもの・・・歴史の流れの中で伝わったものだけにどれもただの美しさだけではない迫力をもっていました。豪華なティアラは展示の中で見つめるものとして、さて私達は・・・目には見えなくても輝くティアラを頭上に飾ったプリンセスのようにすっきりと微笑んでいたい。 そんな思いに満たされる一日となりました。

ティアラ展情報:2007年6月9日から7月22日まで京都文化博物館  京都市中京区三条高倉【ルノーブル京都四条店より徒歩10分】

会館時間 午前10時から午後6時月曜日休館但し祇園祭の 7月16日と7月17日は会館時間も7/14~7/16の三日間は7時半まで

ちょうど今年の祇園祭宵山は休日となっています。町衆のお祭りとは好対照なプリンセスの輝きティアラ展。夏の京都に是非お越しください。

参考文献:ティアラ展図録 「気品と美」ダイアナ・スカリスブリック

※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。

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「器の愉しさを、もっと身近に」という想いを胸に、代々のスタッフがバトンを繋いできた食卓のエッセイ集です。ある時は 古典文学に想いを馳せ、ある時はイースターの食卓を飾り付ける。京都発、器が大好きな私たちの、ちょっとマニアックで愛おしい「器と文化愛」が詰まったコラムたち。数十年にわたり、メールマガジンを通じて数万人の器ファンに届けられたコラムを復刻しています。