この記事はに配信されたメールマガジン「ティータイム通信」コラムの復刻版です。当時のバイヤー・米山が、マイセン・新春・クリスマスにまつわるエッセイを綴りました。
※役職は配信当時のもので、現在は変更または退職している場合があります。
新年いかがおすごしでしょうか。年々季節感は薄くなりつつありますが、私たち日本人にとってお正月はやっぱり特別なものです。クリスマスよりお正月の方が心弾むのは、私だけではないはず。日本全国がペースを落としてゆっくりとした時間の中で過ごす数日間は独特のものがあります。
さて今回のコラムは新年ということもあり、気持ちを初心に戻す、という意味も込めて、陶磁器の原点である景徳鎮とその影響を受けたマイセンについて書かせてもらおうと思います。コラムでは書ききれないほどのストーリーがある2大窯なので、序章だけになってしまいますが・・・よろしくおつきあいくださいませ。
世界の名窯とよばれるドイツのマイセン窯は今日でも多くの人を魅了し続けている陶磁器です。ご存知の方もたくさんいらっしゃるでしょうが、そのマイセンの発展に強いかかわりがあるのが中国の景徳鎮窯です。東洋磁器の代表格である景徳鎮の名前は皆さんも一度は耳にしたことがあると思いますが、詳しいことはあまり・・・という方もいらっしゃるのではないでしょうか。景徳鎮の歴史などについては、ル・ノーブルスタッフが取材したレポートがあります。また、景徳鎮を代表する作家黄氏により厳選された商品も取り揃えていますの
カオリンとはカオリナイトを主成分とする粘土のことで石英や雲母が多く含まれ、中国で最初に発見され実用された製磁の原料です。中国景徳鎮の「高嶺山(Kaolin)」と呼ばれる山から採取されることから国際的にも「カオリン」と呼ばれるようになったようです。カオリンは緻細粒状などの集合体で、すべすべしていて指先でひねると簡単に粉状になります。親水性のため水を含むと崩れやすいですが、可塑性(*意味:粘土は、押すとへこんだり、伸ばすと細くなり、さらに力を加えると形が変わって思ったような形が作れます。このように自在な形が作りやすい性質のことを指します)・耐久性ともにすぐれ、薄作りで焼けひずみが少ないとされています。そして雪のような白さを兼ね備えているのです。最初に800℃~1400℃くらいの高温でかたく焼きしめると、金属分がほとんど含まれないため、元の粘土のままに白く焼きあがります。その磁土を元に、「青花」「「釉裏紅」各種五彩などのオリジナル技法を次々と生み出しました。景徳鎮の名を不朽のものにしたのは「影青」またの名を青白磁と称される茶碗です。この作品が景徳鎮を欧米にまで知らしめるようになったのです。丈夫で透光性・保温性があり、薄い青みを帯び、透通るような肌には刻印が薄く施されいます。また釉薬にもまったく乱れがなく、たたくと澄んだ音を出すのが景徳鎮の特徴です。
この景徳鎮の「たたくと鈴の音のような音を出し肌のように滑らかな白さを持つ磁器」の魅力にたちまちとりつかれた時のドイツの強王アウグスト2世は、自らの窯でその白さを生む研究を命じました。命を受けたのは、ベドガーという一人の男。彼は幽閉生活を強いられ囚人同様の生活の中で研究を重ねていきます。
何年にも及ぶ幽閉生活と思うように進まない研究に、絶望していたベドガーは一時期アルコール漬けの生活を過ごしたようです。やがて、彼は東洋のような美しい磁器を作るためには材料である土が重要であると気付き、ドイツ各地の土を集めようとします。幽閉されていたベドガー自身は外に出ることができなかったため、助手を牢の外に出す事を特例として認めてもらい、各地方からの土がベドガーのもとに集められました。その中で彼が目につけたのがザクセンのフォークラント地方のアウエという村の鉱山から採掘された「カオリン」という土だったのです。その後、ベドガーはカオリンとアラバスターとの調合が相性がいいということを発見し、さまざまな比率での調合を試みます。そしてついにベドガーはヨーロッパ中が追い求めていた磁器の秘法を手に入れたのです。
ベドガーの後、冷酷かつ野心的な芸術家ヘロルト、新しい形の芸術を生み出した名彫刻家ケンドラーによってマイセンはめざましい発展を遂げることになるのです。
余談ですが、マイセンで有名なのは「ブルーオニオン」と呼ばれる、白磁に青い玉ねぎが描かれたシリーズですが、本当のモデルは柘榴の実だったことをご存知でしたか?当時のヨーロッパの人は柘榴を見たことがなかったため、東洋の磁器に描かれていた柘榴の実を玉ねぎと勘違いして、玉ねぎを描いてしまったそうです。それが現在でもベストセラーとして残っている「ブルーオニオン」とのこと。これは以前のテレビ番組で放映されていたのですが、私にとってはトリビアものでした。皆さんはご存知でしたか?こうやって、一つ一つのシリーズに隠れている小話などを知ると、今までとは違った食器の楽しみ方が出てきますね。ブルーオニオンのシリーズや新たに生み出された「ブルーオニオンスタイル」も
定番シリーズ「ブルーオニオン」は
現代のライフスタイルから生み出された「ブルーオニオンスタイル」は
当時は金銀と同じくらい価値があった陶磁器も、3世紀近くたった今はもはや財宝のような貴重なものではなく、私たちの食卓を楽しませる道具として溶け込んでいます。しかし、普段何気なく使っている陶磁器の影には私たちが知らないさまざまな話があります。発展の影に存在した偉大な功績者や、世界の歴史の流れとともにたどってきた陶磁器の歴史を知ると改めて名窯ゆえんたる素晴らしさというものに気付かされるのです。
※ ご覧の時期によって価格等ご案内の情報が異なる場合がございます。最新の情報は各店舗にてご確認ください。







