やきものの種類 ― 土器・炻器・陶器・磁器、その違い ―
「薄いから磁器」とは、実は言い切れません。やきものを分けるのは、見た目ではなく原料と焼成温度。土器・炻器(せっき)・陶器・磁器という4つの種類を、それぞれの生まれた物語とともに整理します。ストーンウェアやアーザンウェアといった呼び名の意味も、あわせてご紹介します。
まず、4種類のやきもの
― 土器・炻器(せっき)・陶器・磁器を、ことばから ―
やきものとは
Pottery / Ceramics
やきものとは、粘土や陶石を焼いて作るうつわの総称で、陶磁器(とうじき)とも呼ばれます。原料と焼成温度の違いによって、主に土器・炻器(せっき)・陶器・磁器の4種類に分けられます。「薄いから磁器」のように見た目だけでは分けられず、決め手になるのは原料の割合と、最後の焼成温度です。
炻器(せっき)とは
Stoneware
炻器(せっき)とは、英語で ストーンウェア(Stoneware)と呼ばれる、焼き締めのやきもの。約1200℃の高温で焼くことで粘土が固く焼き締まり、釉薬がなくても水をほとんど通しません。陶器と磁器の中間的な性質をもち、日本では信楽焼・備前焼が代表。丈夫で扱いやすく、近年は日常の器としても親しまれています。
4種類の早見表
― この違いを、次章で一つずつ物語にしていきます ―
| 種類 | 原料 | 性質 | 釉薬 | 焼成温度 | 打音 |
|---|---|---|---|---|---|
| 土器Earthenware | 粘土 | 不透光・吸水性が高い・傷つきやすい | 無 | 700~900℃ | 濁 |
| 炻器Stoneware | 粘土 | 不透光・ほぼ吸水性なし・傷つきにくい | 有/無 | 1200~1300℃ | 清 |
| 陶器Earthenware | 粘土 | 不透光・吸水性が高い・傷つきやすい | 有 | 1000~1300℃ | 濁 |
| 磁器Porcelain / China | 陶石(石英・長石・カオリンを含む) | 透光性あり・吸水性なし・傷つきにくい | 有 | 1200~1400℃ | 清 |
※ 焼成温度は代表的な目安で、産地や技法により幅があります。
※ 土器と陶器は英語でどちらも Earthenware と呼ばれますが、日本語では釉薬の有無などで区別します。
それぞれのやきものが、どう生まれ、どう使われてきたのか。次の章で一つずつ見ていきましょう。
4つのやきものの、物語
― 土から石へ、9千年をかけた歩み ―
土器 ― はじまりのやきもの
人類が初めて作ったやきものとされ、およそ1万年以上前に生まれたと言われます。日本では縄文式土器が文明の始まりに登場しました。約600~900℃で、粘土をこねて成形し火にくべるだけの素朴なもの。釉薬をかけないため吸水性が高く、水を長く保存できないのが弱点でした。
炻器(せっき) ― 焼き締めて、水を通さない
窯を用いて約1200℃の高温で焼き締めた、英語でストーンウェアと呼ばれるやきもの。粘土が固く締まり、釉薬がなくても水を通しにくいのが特徴です。日本では古墳時代の須恵器(すえき)を経て、中世に信楽焼・備前焼が登場し、今日まで受け継がれています。
陶器 ― 釉薬(うわぐすり)という発見
陶器の最大の特徴は釉薬(ゆうやく=うわぐすり)。器の表面をおおう薄いガラス質の膜で、水を通しません。起源には諸説ありますが、早いものでは紀元前5000年頃とも言われ、燃料の灰が偶然かかってできた自然釉が始まりと言われます。これを人が意図的に操るようになったときが、陶器の誕生。日本は陶器が主流で、瀬戸焼・志野焼・萩焼・美濃焼・益子焼など数えきれない焼き物があり、世界有数のやきもの大国です。
磁器 ― 白く、光を通す頂点
磁器の萌芽はさらに古い時代にも見られますが、中国の景徳鎮(けいとくちん)で高品質な真っ白い磁器が確立され広く知られるようになったのは、今からおよそ1000年ほど前(宋の時代)のことでした。決め手は、カオリンという不純物の少ない白い粘土と、陶石(石英・長石)を組み合わせる高い技術。長石が高温でガラス質になり、石英が骨組みとして形を支えます。約1400℃で焼くと素地が半透明になり、これを「磁器化」と呼びます。指ではじくと金属質の澄んだ音。この技術がやがて朝鮮、日本の有田焼、そして西洋のマイセンへと渡っていきました。
よくある、ちいさな疑問
― 呼び名から、専門用語まで ―
「炻器」は何と読みますか? ストーンウェアと同じもの?
「せっき」と読みます。英語のストーンウェア(Stoneware)にあたる、焼き締めのやきものです。高温で焼くため固く締まり、釉薬がなくても水をほとんど通しません。信楽焼・備前焼などが代表で、丈夫で日常づかいに向いています。
ストーンウェア(炻器)と陶器・磁器は、何が違いますか?
大きな違いは焼成温度と吸水性です。陶器は釉薬で水を防ぎますが素地は吸水性があり、炻器はより高温で焼き締めるため素地じたいがほぼ吸水しません。磁器はさらに高温で焼き、白く光を通すのが特徴。丈夫さは炻器・磁器が、素朴な風合いは陶器が持ち味です。
「磁器化する」とは、どういう意味ですか?
原料の鉱物が高温で溶け合い、素地が半透明(透光性をもつ状態)になることを「磁器化する」と言います。長石がガラス質に変わることで生まれる、磁器ならではの性質です。光にかざすとほのかに透けるのは、この磁器化によるものです。
やきものを、味わってみる
― 種類がわかると、うつわ選びはもっと楽しい ―
やきものの頂点に立つ磁器は、中国から日本の有田焼、そして西洋へと渡っていきました。その系譜につらなる名窯のコレクションをご紹介します。
よくあるご質問
― やきものの種類についての、よくある疑問 ―
やきものは何種類に分けられますか?
原料と焼成温度の違いにより、主に土器・炻器(せっき)・陶器・磁器の4種類に分類されます。ただし同じ原料でも焼成温度によって異なる種類になることがあり、見た目だけで区別するのは難しいとされています。
ストーンウェア(炻器)とは何ですか?
炻器(せっき)の英語名で、約1200℃で焼き締めたやきものです。粘土が固く締まり、釉薬がなくても水をほとんど通しません。陶器と磁器の中間的な性質をもち、丈夫で扱いやすいのが特徴。信楽焼・備前焼などが代表です。
アーザンウェアとは何ですか?
陶器(および土器)を指す英語 Earthenwareです。粘土を原料とし、光を通さず吸水性があるやきもの。陶器は釉薬をかけて水を防ぎます。瀬戸焼・美濃焼・萩焼など、日本のやきものの多くが陶器にあたります。
陶器と磁器の違いは何ですか?
陶器は粘土を原料とし、光を通さず素地に吸水性があります。磁器は陶石を原料に1200~1400℃の高温で焼き締めるため、透光性があり吸水しません。軽くはじくと、陶器は濁った音、磁器は澄んだ音がします。
「磁器化する」とはどういう意味ですか?
高温で原料の鉱物が溶け合い、素地が半透明(透光性をもつ状態)になることです。長石がガラス質に変わることで生まれる、磁器ならではの性質を指します。
この知識を、これからの器選びに
― 今日は調べものだけ、という方も ―

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