Chapter 01 · 1610 ― VOC
ヨーロッパへ ─ 1610年、オランダから始まった
── オランダ東インド会社の最初の積荷 ──
ヨーロッパに紅茶を運んだ最初の船は、オランダ東インド会社の貿易船でした。陸路では絹や香辛料ほど効率よく運べなかったお茶は、海路で初めて大規模な交易の対象となります。1610年頃、オランダ船は日本と中国でお茶を買いつけ、ジャワ島を経由して本国アムステルダムに荷揚げしました。これがヨーロッパに「Tea」が到達した最初の記録です。船で赤道を越えるうちに緑茶が発酵し紅茶になった ── 後年語られるこの俗説は事実ではありません。緑茶と紅茶の違いは茶葉摘採直後の製法(発酵の有無)で決まります。当時オランダに届いたのは、緑茶と烏龍茶でした。オランダの上流階級は、苦みのある茶に高価な砂糖を入れ、茶碗からソーサー(受け皿)に移して啜るという独特の作法で味わったといいます。お茶は、東洋の薬・嗜好品から、ヨーロッパ宮廷の社交飲料へと姿を変え、まさに一杯の中に経度150度を超える旅が凝縮されていました。

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