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お茶の歴史 後編|東洋から西洋へ ティーカップが映す文化の変遷

お茶の歴史 後編 ─ 1610年オランダ伝来からボーンチャイナまで、東洋から西洋への茶文化の変遷
東洋から西洋へ ─ 一杯の紅茶が結んだ200年以上の交流

An Editorial · A History of Tea (West)

お茶の歴史 後編 東洋から西洋へ ティーカップが映す文化の変遷

1610年、オランダ船から始まった一杯の物語。

1610年オランダ東インド会社が運んだ最初の積荷から、1662年キャサリン王妃の英国宮廷、1790年頃のボーンチャイナ確立、19世紀半ばヴィクトリア女王時代のアフタヌーンティーまで ── 一杯の紅茶が世界を動かした、200年以上にわたる東西交流の物語を辿ります。

Chapter 01 · 1610 ― VOC

ヨーロッパへ ─ 1610年、オランダから始まった

── オランダ東インド会社の最初の積荷 ──

ヨーロッパに紅茶を運んだ最初の船は、オランダ東インド会社の貿易船でした。陸路では絹や香辛料ほど効率よく運べなかったお茶は、海路で初めて大規模な交易の対象となります。1610年頃、オランダ船は日本と中国でお茶を買いつけ、ジャワ島を経由して本国アムステルダムに荷揚げしました。これがヨーロッパに「Tea」が到達した最初の記録です。船で赤道を越えるうちに緑茶が発酵し紅茶になった ── 後年語られるこの俗説は事実ではありません。緑茶と紅茶の違いは茶葉摘採直後の製法(発酵の有無)で決まります。当時オランダに届いたのは、緑茶と烏龍茶でした。オランダの上流階級は、苦みのある茶に高価な砂糖を入れ、茶碗からソーサー(受け皿)に移して啜るという独特の作法で味わったといいます。お茶は、東洋の薬・嗜好品から、ヨーロッパ宮廷の社交飲料へと姿を変え、まさに一杯の中に経度150度を超える旅が凝縮されていました。

Chapter 02 · 1662-1720 ― British Royal Tea

イギリス王室から市民へ ─ 紅茶文化の誕生

── キャサリン王妃が運んだ東洋趣味 ──

イギリスでお茶が定着したきっかけは、1662年に国王チャールズ2世のもとへ嫁いだポルトガル王の娘、キャサリン・オブ・ブラガンザ(1638-1705)でした。彼女は東洋趣味の喫茶習慣を宮廷に持ち込んだ最初の王妃で、英国王室紅茶文化の起点となります。茶は瞬く間にイギリス王室の飲み物となりました。1689年にはオレンジ公ウィリアム3世とメアリー2世が即位し、彼らも東洋趣味を熱烈に支持しました。上流階級の家庭では中国製の急須・茶碗の収集が流行します。後を継いだアン女王(1665-1714)は大の美食家で、朝食に必ず茶を飲み、宮廷では茶会を頻繁に開いたといいます。1720年頃には、銀のティーポットや中国製陶磁器のポットで客の目の前で茶を淹れることが、貴婦人のステータスとなりました。お茶の席で女主人と会話を楽しむ ── これが社交のエチケットとして定着していきます。この頃すでに、イギリスの茶の消費量は他のヨーロッパ諸国を大きく上回る規模に達していました。茶という一杯の飲み物が、イギリスの社交を再編成しはじめていたのです。

お茶の席で女主人と会話を楽しむ ── 18世紀イギリス上流階級における社交のエチケット。
── 1720年代 ロンドン宮廷の慣習

Chapter 03 · c.1790 ― Bone China

産業革命とイギリス独自の陶磁器 ─ ボーンチャイナの誕生

── ジョサイア・スポード2世と骨灰磁器 ──

ウェッジウッド イングリッシュレース(廃番)── 現在は廃番となったボーンチャイナの代表的一例。スタッフォードシャー地方の窯業を象徴する白磁素地
ウェッジウッド イングリッシュレース(廃番)── 現在は廃番となったボーンチャイナの代表的一例

18世紀後半、イギリスは産業革命に突入します。蒸気機関と工場制が労働を再編成し、農村から都市へ人口が移動しました。それまで上流階級が嗜んでいた茶も、中産階級に普及し、やがて労働者階級の食卓にも届くようになります。健康面から茶を勧める言説も広がりました。同じ頃、砂糖革命が起きます。西インド諸島でのプランテーションが砂糖を大量供給し、砂糖の価格は急落しました。これが紅茶文化の風景を決定づけます。薄く淹れてストレートで飲むスタイルから、濃く淹れた紅茶にミルクと砂糖を加えて飲むスタイルへ ── イギリス独自の喫茶法が確立しました。陶磁器の側でも独自の進化が起きていました。1790年頃、イギリスで茶漉しが発明されます。そしてウェッジウッドで知られるスタッフォードシャー地方を中心に、窯業が産業として爆発的に発展しました。1790年頃、ジョサイア・スポード2世(1755-1827)が「ボーンチャイナ(骨灰磁器)」を完成させると、薄く・軽く・透き通るような白磁が大量生産可能になります。中国・マイセンと並ぶ磁器産地が、ついに英国に誕生したのです。上に掲げた一例のウェッジウッド イングリッシュレースは現在は廃番となりましたが、同窯のボーンチャイナの系譜は現行のワイルドストロベリーへと受け継がれ、いまも英国紅茶文化を代表する白磁として食卓を彩り続けています。

Chapter 04 · 19C ― Afternoon Tea

紅茶文化の定着 ─ 一杯のなかに刻まれた変遷

── ヴィクトリア女王時代のアフタヌーンティー ──

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ゴールド ティーカップ&ソーサーとプレートを並べたアフタヌーンティーの設え 金のティースタンドに焼き菓子とマカロン
ウェッジウッド ワイルドストロベリー ゴールド ─ ヴィクトリア女王時代に確立したアフタヌーンティーの様式を現代の食卓へ

ヨーロッパでの陶磁器の隆盛は、紅茶文化の隆盛と完全に同期していました。茶を飲むために茶器がつくられ、茶器が暮らしを変えていきます。中国から運ばれた青花茶碗、マイセンが模倣した東洋紋様、ボーンチャイナの白磁、ウェッジウッドのワイルドストロベリー ── 一連の器の系譜は、一杯の紅茶が世界をどう動かしたかを物語ります。19世紀半ば、ヴィクトリア女王時代に「アフタヌーンティー」が貴族の習慣として確立します。3段スタンドにスコーン・サンドイッチ・ケーキを並べ、紅茶とともに供されるこの様式は、紅茶文化の到達点として今も世界中で愛されています。お茶の歴史 後編が映すのは、一杯の飲み物が階級・産業・美意識を変えていく長い軌跡です。お茶の歴史 前編で辿った中国雲南からの長い旅は、ボーンチャイナの白磁を経て、いま私たちの食卓にも届いています ── ティーカップに口をつけるたびに、千年の物語が静かに重なります。

よくあるご質問

Q1: お茶がヨーロッパに伝わったのはいつ?

1610年頃にオランダ東インド会社がアジアから茶葉を持ち帰ったのが、ヨーロッパへの最初の本格的な茶輸入とされます。

Q2: キャサリン王妃の役割は?

1662年 イギリス国王チャールズ2世に嫁いだポルトガル王の娘 キャサリン・オブ・ブラガンザ。東洋趣味の喫茶習慣を宮廷に持ち込み、英国王室紅茶文化の起点となりました。

Q3: ボーンチャイナとは?

1790年頃にジョサイア・スポード2世が確立した骨灰磁器。薄く軽く透き通る白磁で、ウェッジウッド/ロイヤルクラウンダービー等 英国磁器の代表素材です。

Q4: 紅茶にミルクと砂糖を入れるようになったのはいつ?

産業革命期の18世紀後半。西インド諸島の砂糖革命で砂糖が大衆化し、濃く淹れた紅茶にミルクと砂糖を加える英国独自の喫茶法が定着しました。

Q5: アフタヌーンティーの起源は?

19世紀半ば ヴィクトリア女王時代。ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアが午後の空腹を紛らわすために始めたとされ、3段スタンドにスコーン/サンドイッチ/ケーキを並べる様式です。

The Selection

紅茶文化の英国代表 ─ ウェッジウッド ワイルドストロベリー

── 1759年スタッフォードシャー、産業革命とともに歩むボーンチャイナの名窯 ──

Brand · Wedgwood Wild Strawberry

ティーセット中核 ─ ティーカップ・ティーポット・クリーマー・シュガーボックス

1960年代に発表されて以来のロングセラー。野いちごの絵付けと白磁が、英国紅茶文化の優雅さを今に伝えるシリーズです。

№ 01

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーカップ&ソーサー(リー)200ml

ボーンチャイナ / 200ml / リーシェイプ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーカップ&ソーサー リーシェイプ 200ml ボーンチャイナ

リーシェイプの優雅な曲線が紅茶の色を引き立てる、英国アフタヌーンティーの定番カップ。野いちごの絵付けと白磁の薄さが、19世紀ボーンチャイナの到達点を今に伝えます。

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№ 02

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーカップ&ソーサー(ピオニー)200ml

ボーンチャイナ / 200ml / ピオニーシェイプ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーカップ&ソーサー ピオニーシェイプ 200ml ボーンチャイナ

花弁のように広がるピオニーシェイプは、紅茶の香りを立ち上らせる伝統的な口縁。リーシェイプとペアで揃えれば、客と主人で形違いを楽しむ英国流の茶会が完成します。

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№ 03

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーポット L 1200ml

ボーンチャイナ / 1200ml / L サイズ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー ティーポット L 1200ml ボーンチャイナ

1720年代の英国宮廷で社交の中心となった「銀のティーポット」の系譜を受け継ぐ、ボーンチャイナのLサイズポット。1200mlは4~5杯分を客の目の前で淹れる作法に適しています。

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№ 04

ウェッジウッド ワイルドストロベリー コーヒーカップ&ソーサー(キャン)

ボーンチャイナ / キャンシェイプ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー コーヒーカップ&ソーサー キャンシェイプ ボーンチャイナ

円筒形のキャンシェイプは、コーヒーの香りを閉じ込めて立ち上らせる18世紀後半の英国カップ形状。茶と珈琲、二つの嗜好飲料を分け隔てなく楽しむ英国流の食卓に。

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№ 05

ウェッジウッド ワイルドストロベリー クリーマー L 300ml

ボーンチャイナ / 300ml / L サイズ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー クリーマー L 300ml ボーンチャイナ

産業革命期に確立した「濃く淹れた紅茶にミルクと砂糖を加える」英国独自の喫茶法。300mlのLサイズクリーマーは、ミルクティー文化を体現する象徴的なピースです。

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№ 06

ウェッジウッド ワイルドストロベリー シュガーボックス L 9cm

ボーンチャイナ / 9cm / L サイズ

ウェッジウッド ワイルドストロベリー シュガーボックス L 9cm ボーンチャイナ

西インド諸島の砂糖革命が大衆化させた砂糖を、白磁のシュガーボックスに収める ── 産業革命期の食卓に登場した新しい器。クリーマーと並べてミルクティー文化を完成させます。

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