代々受け継がれてきた、門外不出の技法
今なお憧れの街でありつづけるヴェネツィア。
歴史の記憶を留めている街を形成しているもの―、その一部分はヴェネツィアンガラスではないでしょうか。
ヴェネツィアンガラスの技法の中でも秘法中の秘法として、門外不出の強い統制下に置かれてきた独特の「レースガラス」の技法は、1400年ごろからムラーノ島(※1)に工房を持つバラリン家に引き継がれています。
まず、「カンナ」と呼ばれるガラス棒そのものが作られますが、この規則正しく整ったレース模様が、繊細で可憐な作品を生み出す基本となっており、バラリン工房の最大の特徴です。15代目マエストロ、ジュリアーノ・バラリン氏が得意とするのは、レッティチェロ(編み目)、ルトリー(ねじり)、フィリグラーナ(線状)、ザンフィリコ(リボン状)のカンナを用いたレースガラス。模様の繊細さ、正確さ、色合わせのセンスの良さは他の工房と比較しても群を抜いています。
ル・ノーブルとマエストロの出会い
マエストロ バラリン氏とル・ノーブルの出会いは2000年に遡ります。
以来彼の作品を紹介し続けて参りましたが、変わらないもの、また新たに加えられたものそのひとつひとつにバラリン氏の中世以来連綿と受け継がれてきた職人魂が込められています。またいつの時代にあっても愛される洗練された佇まいは、ヴェネツィアそのものを象徴しているかのようです。
天性の芸術的才能と努力に裏打ちされた作品は、ムラーノ随一と評される「ジュリアーノ・バラリン氏」。
1942年3月15日、1400年よりムラーノ島に独自の工房を持つヴェネチアンガラスの伝統を代々受け継ぐ名家、バラリン家に15代目として生を受ける。幼い頃からガラスに親しみ自然に高度な宙吹き(※2)ガラスの技術を学んでいたバラリン氏は、有名なガラスの大家であるカラーラアルビーノ氏、マルティヌッツィフランチェスコ氏、カルロトッシカラメア氏の指導のもと共に働き、類い稀な才能を発揮。経験を積んだバラリン氏は彼自身のガラス工房を開き、伝統的な技術と新しい技術をミックスしたオリジナルモデルを開発し続け、70歳を過ぎた今、彼の天性の芸術的才能と努力に裏打ちされた作品はムラーノ随一と評され、彼の作品は、ムラーノ・ガラス美術館(Museo del Vetro)にも収蔵されています。
- (※1)ムラーノ島
- 1291年、ヴェネツィア共和国大評議会の決定により、ヴェネツィア本島のすべてのガラス工房がムラーノ島に移転させられた。この移転令は、当時大部分が木造だったヴェネツィアの町を火災から守り、またガラス産業を国家の強力な管理下に置いてガラス職人の国外流出を防止するためだった。
- (※2)宙吹き
- ローマ時代より伝わる技法で、吹き竿の先にガラス種を巻き取り、空中でまわしながら息を吹き込んで成形する方法。
バラリン工房による、素晴らしい作品の数々を是非ご覧ください。
ベース
ベースはそのまま飾っているだけでも様になるデザインが魅力。光を受けるとガラスの艶がより一層際立ちます。
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フィギュリン
ベネチアンガラスを代表するフィギュリン。工房によって様々な様式がありますが、バラリン工房によるフィギュリンの完成度は群を抜いています。
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ボウル
縁がフリルのように表情がつけられ、まるで花が咲いたかの様なエレガントなシェイプ。デザート、サラダ、花器など用途も様々です。
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ワイングラス
規則正しく並んだレース柄は見た目にも美しく、また厚手に作られているので普段使いにも適しています。
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香水瓶
実用性もさることながら、ベネチアンガラスらしい愛らしさに溢れた香水瓶。
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