リヤドロの歴史は1950年代初めに創始者であるリヤドロ三兄弟が、スペイン東海岸の地中海に面した古都・バレシアにある自宅で小さな窯を築いたことにはじまります。“人生の喜びを描く”という創作理念と絶え間ない技術の探求により創出される作品の数々は、世界中の多くの人々の共感を得、創業よりわずか60年余でリヤドロをポーセリンアートのトップブランドへと成長させました。国際的に高い評価を受けたリヤドロ作品は、ロシアのルミタージュ美術館やベルキーの王立美術歴史博物館といった各国の有名美術館や博物館などで所蔵されています。
全てのリヤドロ作品はバレンシア州にあるポーセリンシテイで、彫刻家・装飾家・技術者・絵付師が『ポーセリンの美しさを極限まで引き出すこと』を目標にかかげ、手作業によって仕上げられています。難易度の高い構図で造られた模型をいくつものパーツに分け、それを石膏で型どりし、鋳型が作成されます。作品の大きさにより鋳型の数がきまりますが、一つの作品は15から20のパーツから成りたっており、大作になると300にも及ぶ鋳型が必要となることもあります。鋳型は品質保持のため寿命が決まっており、少しでも欠陥が見つかれば古い型は壊され、新しい型が使用されます。リミテッド作品(※開発に時間をかけ、高い技術によって制作された限定制作品)などの場合は、型の寿命はさらに短くなります。
またリヤドロ独特の色調は、アーティストたちが濃度・密度・質感・色調の違いなどを研究し、4千もの異なる色から作品に必要とされる最適な色彩を探しだし彩色されています。作品への絵付けは絵付師によって、長年の経験を経て得られた正確さ、そして繊細な筆使いで装飾されていきます。リヤドロ作品にはその装飾だけを取り上げてみても芸術作品といえるものが存在します。
ポーセリンは焼成時に高温にさらされるとゼラチン状に変化するため、ほんの小さな不備が原因となり作品全体が損なわれ、何ヶ月もかけた仕事が水泡に帰す可能性もあります。窯のなかで、作品は1日中摂氏1300度の高温にさらされ、焼成中均一にスプレーされた釉薬が結晶化することにより、最終的に透き通った光沢と、リヤドロ独特の色あいが生まれます。
ポーセリンへの愛情を込めて、こうした複雑な制作工程をたどり完成した作品の数々は世界中のポーセリンアートを愛するする人々を魅了し続けます。リヤドロの芸術的、技術的力量が余すところなく発揮された作品の数々をお楽しみください。
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