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Luxury Selection vol.113 ロイヤル・コペンハーゲンと青花 〜Blue & White〜

染付と青花

「青花(せいか)」とは、コバルトで白磁の上に絵付けをした上に釉薬を施した磁器のことで、染付とも呼ばれます。中国では紀元前7世紀ごろよりコバルトが使用され、釉下への彩絵技法も唐(618-918年)以前の遺物からも確認できているにもかかわらず、青花の登場は元代(1271-1368年)に至るまで待たねばなりませんでした。

元時代、コバルトはペルシャのカシャーン付近から採掘されたとされています。青花磁器は景徳鎮で焼成後、モンゴル帝国よりイスラム圏やヨーロッパなど世界各地に運ばれて行きました。当時の青花としてトルコのトプカピ宮殿に収蔵されている作品は特に有名です。

ヨーロッパ中を魅了する青花磁器の美

ヨーロッパに青花磁器が初めてもたらされたのは14、15世紀のイタリア ベネチアとジェノバの商人たちの交易によるものと言われています。その後、16世紀にはポルトガルとスペインが、17世紀初めにはイギリスとオランダが太平洋やインド洋への航路を開き、東インド会社を設立し、アジアとの貿易を行いました。17世紀に沈没した交易船からは、胡椒等とともに数万点のヨーロッパ向けの中国陶磁が発見され、当時の交易の盛んな様子を知ることが出来ます。

< チェンナイのセント・ジョージ要塞 >

デンマークの記録では1615年に国王クリスチャン4世(在位1588-1648年)がデンマーク最初の株式会社のデンマーク東インド会社にアジア貿易の独占権を与えました。デンマークによる最初のアジア出港は1618年で、1639年までの間に18隻がコペンハーゲンから出発し、1622年から37年の間に7隻が無事に帰国しました。当時のデンマークは北ドイツへの侵攻を狙った、いわゆる「30年戦争」に突入しており、新しく造船する財政的余裕がなくなりデンマーク東インド会社はほどなく閉鎖されました。

国力も回復した1668年、29年間のブランクを経てデンマーク東インド会社を再開することになります。1732年にはデンマーク・アジアテック会社が設立され、中国と恒常的に貿易が行われるようになりました。中国への積み荷はほとんどが銀で、帰りに陶磁器を中心とした文物を持ち帰り、莫大な利益を得ることが出来ました。

硬質磁器の誕生

ヨーロッパでの磁器製作の試みは、中国から青花磁器がもたらされたことにより始まります。イタリアではメディチ家が1575年にフィレンツェで軟質磁器の製作所を設立、オランダのデルフトにおいても中国の青花の器形や文様を移した陶器の生産などが盛んに行われました。その中で、ヨーロッパで最初に硬質磁器の生成に成功したのがマイセンでした。

< マイセンの絵付け風景 >

1710年にマイセン地方のアルブレヒト城にヨーロッパ初の磁器工場が稼働、1718年にはウィーンでもザクセンからカオリンを輸入し、磁器の生産が始まりました。そして1720年に初めてマイセンにおける青花が作られます。マイセン磁器にはカオリンが多く含まれているため、高温焼成しなければならず、コバルト顔料が高温によって飛んでしまうのを防ぐために、コバルトそのものにカオリンを混ぜて焼成していました。

その後、18世紀半ばにはマイセン磁器がヨーロッパ各国の宮殿だけではなく貴族の館の内部装飾にも使われるようになります。宮廷や貴族や有力地主の晩餐会などでも磁器のディナーセットが用いられ、それは極めて高価なものとして、財力と社会的地位のシンボルですらありました。

ロイヤル・コペンハーゲンと青花

ロイヤル・コペンハーゲンが磁器の生産を開始したころは、ロココ趣味の装飾から新古典主義へと流行が移行していく最中でもありました。当時は本格的な知識としての中国趣味(シノワズリ)が復活し、オランダをはじめとする中国貿易でもたらされた陶磁器や漆器などの文物は高価で取引されました。これらの価格があまりにも高価であったため、その需要を満たすためにヨーロッパ各地で中国の工芸の複製品の製作が試みられたのは当然の流れでした。

< ブルーフルーテッドフルレースのティータイム >

1773年にノルウェーのモダムという町の近くでコバルトが発見されたという報告があり、直ぐに調査が開始され、国王クリスチャン7世(在位1766〜1808)は1776年にロイヤル・コバルト工場を建設しました。それはロイヤル・コペンハーゲン磁器製作所が設立された翌年のことであり、青花を大量に製作した中国ですら、長い間イスラムからコバルトを輸入しなければならなかったことを考えれば、ノルウェーでのコバルト鉱山の発見はロイヤル・コペンハーゲンの青花の安定的な制作に実に幸運なことでありました。

ロイヤル・コペンハーゲン磁器製作所の設立にあたっては、皇太后など王室の支援もありましたが、陶磁器生産の原材料がデンマークとノルウェーの二重君主制の領土内で調達が可能であったことも大きな要因の一つです。ヨーロッパの各地の窯に比べて青花の生産は遅い方でしたが、生産が容易になったことですぐに価格面での競争力を持つようになりました。

ブルー・フルーテッドの誕生

設立当初より青花は磁器工場の収益の柱であり、主力にするという方針が打ち出されましたが、初期のロイヤル・コペンハーゲンの青花は満足の行くものではありませんでした。1777年にフレデリック皇太子はマイセンからブルーフルーテッド文様の食器セットを購入していると記録に残っており、王室がロイヤル・コペンハーゲンを支援し、特別の関心を持っていたにも関わらず、高級品はマイセンから調達されていたのです。

< ブルーフルーテッドシリーズ >

1780年ごろには青花の品質は大いに改善され、デンマークで全て製作されたという画期的なものになりましたが、未だデザインの大部分はマイセン磁器の写しでした。ブルー・フルーテッドパターンは中国陶磁の文様を意識して作られています。中国の奇岩である太湖石に蝶と花が配置されるというデザインで、中国では明末頃から盛んに用いられていました。この文様はマイセン磁器において1740年ごろに登場し、18世紀半ばにはヨーロッパ各地の窯でも焼成され、大流行したパターンでもあります。

ロイヤル・コペンハーゲンでは、この文様のパターンを1776年から生産し始めます。ちなみに、ロイヤル・コペンハーゲンの創業である1775年から1820年ごろまでに、約30人の青花の絵付師が在籍していましたが、キャリアも様々であったため作品の質のバラツキも多く、絵付師の給与も出来高によっていたので、どの作品を絵付したかがわかるように、小さなサインが入れられていました。

進化する伝統と革新

1807年にイギリス軍のコペンハーゲン爆撃によりロイヤル・コペンハーゲンの工場は大打撃を被ります。原材料の不足から数年たっても生産は衰えたままでしたが、近年のロイヤル・コペンハーゲンの躍進に大いに寄与したアーノルト・クローが「ブルーフルーテッド」を再発見し、より魅力あるデザインを加えて素晴らしい作品を作り出しました。

< ブルーフルーテッドメガ >

ブルーフルーテッドには「プレイン」「ハーフレース」「フルレース」の青花パターンがありますが、2000年に「ブルーフルーテッドメガ」というブルーフルーテッドの一部を模様にしたパターンが発表されました。これはブルーフルーテッドの文様自体がロイヤル・コペンハーゲンのブランドを表す文様となっており、中国趣味の時代様式として認識されていた青花の唐草文様が長い年月が経つうちに、ロイヤル・コペンハーゲンのオリジナルの特徴的なデザインとして受け入れられたことを示しています。

かつて中国の磁器が高級品としてヨーロッパへ輸出されたように、今日ではロイヤル・コペンハーゲンの青花文様が、高級磁器「ブルーフルーテッド」として、世界中で愛され続けています。

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