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マイセン 創世期|1710年、ヨーロッパ磁器が始まった日

マイセン 創世期 1710年ヨーロッパ磁器が始まった日

Meissen · Germany · 1710

マイセン 創世期
1710年、ヨーロッパ磁器が始まった日

ベットガー・ヘロルト・ケンドラー、三人の磁器を作った人々

1710年、ザクセン州マイセンでヨーロッパ初の硬質白磁が生まれました。錬金術師ベットガーが「白い金」を焼成し、絵付け師ヘロルトが装飾の言語を与え、彫刻家ケンドラーが磁器に三次元の造形を持ち込んだ ── その応答の集積として、1737年スワンサービスと1739年ブルーオニオンが現代まで継承されています。315年の出発点から振り返るマイセンの物語です。

Prologue

315年続く、ヨーロッパ磁器の出発点

1710年、ザクセン選帝侯アウグスト強王の命によってマイセンに磁器工場が設立されます。前年の1709年、ヨハン・フリードリッヒ・ベットガーが東洋の白磁の再現に成功し、ヨーロッパで初めて硬質白磁が焼成された直後の出来事でした。当時の白磁は中国・日本から渡来する貴重品で、王侯貴族のあいだで「白い金」と呼ばれるほどに重んじられていました。そのマイセン窯に、絵付け技法の革新者ヘロルトと彫刻の天才ケンドラーが順に加わり、白磁開発・絵付け・彫刻という三つの応答が一つの工房で重ねられていきます。本特集は、その出発点を振り返る物語です。

Timeline

1710年から現代へ ─ 315年の歩み

  • 1709ベットガー、ヨーロッパ初の硬質白磁焼成に成功
  • 1710ザクセン選帝侯アウグスト強王の命でマイセン窯設立
  • 1720ヘロルト、絵付け技法の革新者として招聘
  • 1731ケンドラー、首席彫刻家に就任
  • 1737-41スワンサービス制作(ブリュール伯爵向け)
  • 1739ブルーオニオン発表(現存最古の継続生産絵柄)
  • 18C後半シノワズリ流行・インドの華の発展
  • 19-20Cマイセン様式の世界展開
  • 現代315年の伝統が今も続く
ベットガー 赤土レリーフのプレート(焼き込みサイン Johann Friedrich Böttger)

Chapter 1 · Böttger

ベットガー ─ 白磁を発明した錬金術師

ヨハン・フリードリッヒ・ベットガーは、もとはプロイセンの錬金術師として「金を作る」と豪語したことで王侯貴族に追われた青年でした。逃亡先のザクセン選帝侯アウグスト強王に幽閉同然で抱えられ、東洋の白磁を再現せよとの命を受けたのが17世紀末。1709年、ついにヨーロッパ初の硬質白磁の焼成に成功し、翌1710年にマイセンへ最初の磁器工場が設立されます。錬金術師が金の代わりに「白い金」を作り出した、磁器史の決定的瞬間です。

ヘロルト シノワズリ柄のプレート

Chapter 2 · Höroldt

ヘロルト ─ 装飾の言語を与えた絵付け師

ヨハン・グレゴリウス・ヘロルトは、1720年にマイセンへ招かれた絵付け技法の革新者です。彼が確立した上絵付け技法は、白磁の表面に7色を超える鮮やかな色彩を定着させることを可能にし、シノワズリ(中国趣味)の流行の波に乗ってマイセンを欧州随一のブランドへと押し上げました。ベットガーが「白磁の身体」を作り、ヘロルトが「装飾の言語」を与えた ── そう言うこともできるでしょう。本特集のブルーオニオンも、1739年に発表されたヘロルトの遺産の延長線上に位置する一柄です。

ケンドラー 白磁レリーフのボウル(焼き込みサイン Johann Joachim Kändler)

Chapter 3 · Kändler

ケンドラー ─ 磁器に彫刻を持ち込んだ天才

ヨハン・ヨアヒム・ケンドラーは、1731年にマイセンの首席彫刻家へ就任した造形の天才です。それまで二次元の絵付けに偏っていた磁器に、彫刻という三次元の言語を持ち込みました。動物や人物のフィギュリン、そして1737年から1741年にかけて貴族ハインリヒ・フォン・ブリュール伯爵のために制作した「スワンサービス」は、その代表作です。本特集に採用したスワンサービスの白磁は、白鳥と鷺のレリーフが「絵付けに頼らない磁器の美」を体現する一群です。

Series 01 · Swan Service · 1737-41

スワンサービス ─ 白磁が彫刻になった瞬間

スワンサービスは、ザクセン宮廷の宰相ハインリヒ・フォン・ブリュール伯爵のために、1737年から1741年にかけてケンドラー主導で制作された大規模ディナーセットです。器の胴に施された白鳥と鷺の浮彫は、絵付けに頼らずに白磁そのものの陰影で構成され、テーブルウェアという日用品の枠を超えて磁器を「彫刻」の領域へと押し上げました。創業から30年あまりのマイセンが到達した造形の極致は、現代に至るまで継続的に復刻が続けられ、今日のテーブルにも色を選ばずに収まる万能性を持ちます。本特集では、ティーカップ&ソーサーからオーバルディッシュまで、白磁レリーフの6つの応答をお選びいただけます。

Series 02 · Blue Onion · 1739

ブルーオニオン ─ 285年続く青の絵柄

ブルーオニオンは、1739年にマイセンが発表した青の絵柄で、ヘロルトが確立した絵付け技法の延長線上に位置する一柄です。意匠の起源は中国・明朝の柘榴文(ざくろもん)にあり、東洋の意匠を欧州が解釈する過程で果実が「玉ねぎ(オニオン)」と読み替えられたため、この名で呼ばれるようになりました。1739年の発表以来285年、一度も生産が途切れることなく続けられている、現存最古の継続生産絵柄です。マイセンの定番として、コバルトブルーの繊細な手描き絵付けが現代の食卓にも馴染みます。

Heritage

受け継がれる名作シリーズ

インドの華 シノワズリの代表柄

インドの華 ─ シノワズリの代表柄

インドの華は、ヘロルト時代のマイセンが東洋の絵付けと向き合った代表的な意匠です。18世紀ヨーロッパで流行したシノワズリ(中国趣味)の波の中で、東洋の植物文様を欧州磁器の表現体系に取り込んだ系譜に位置づけられ、ブルーオニオンと並ぶ初期マイセンの応答として知られています。最新の取扱状況はシリーズページでご確認いただけます。

よくあるご質問

Q1. マイセンはいつから?

1710年、ザクセン選帝侯アウグスト強王の命によりマイセンに磁器工場が設立されました。前年の1709年にベットガーがヨーロッパ初の硬質白磁焼成に成功した直後の出来事です。

Q2. スワンサービスとは?

ザクセン宮廷の宰相ブリュール伯爵のために、1737-1741年にかけてケンドラー主導で制作された大規模ディナーセット。白鳥と鷺の浮彫を白磁の陰影だけで構成した代表作です。

Q5. インドの華は今買える?

本特集ではヘロルト時代の意匠系譜として歴史紹介のみ掲載しています。現在の取扱状況はインドの華シリーズページでご確認ください。

Q3. ブルーオニオンの発表年は?

1739年です。中国・明朝の柘榴文を起源とする意匠を欧州が玉ねぎと読み替えた絵柄で、1739年の発表以来285年、一度も生産が途切れず続く現存最古の継続生産絵柄です。

Q4. 3人物の役割分担は?

ベットガー=白磁の開発(1709年硬質白磁焼成成功)、ヘロルト=絵付け技法の革新(1720年招聘)、ケンドラー=彫刻(1731年首席彫刻家就任)。三段階の応答が一つの工房で重ねられました。

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