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イッタラ&アラビア|フィンランド北欧デザイン170年史

An Editorial · iittala & ARABIA · 170 Years

イッタラとアラビアは、 なぜ170年愛され続けるのか。

1843年のフィンランドから、今この食卓へ。

1843年、まだ独立国ではなかったフィンランドの地で、日常の器に美しさを宿す試みが始まりました。1873年のアラビア、1881年のイッタラ。2つのブランドを貫くのは、カイ・フランクが体現した「美は、日常の中にある」という思想です。

イッタラとアラビア ─ フィンランド北欧デザイン170年の食卓
※メイン画像はイメージです

Prologue

「ティーマ」「パラティッシ」。今なお選ばれる理由。

── 1881年の工房から、今この食卓へ ──

はじめてイッタラのティーマを手にしたとき、多くの方が驚かれるのはその軽さと口当たりの清潔感です。プレートの縁はわずかに立ち上がり、スタッキングしても安定する設計になっています。1952年のキルタ(Kilta)誕生から70年以上、このフォルムが変わらない理由は、設計者カイ・フランクの思想に集約されます。器は飾るためではなく、毎日の食卓で使われてこそ意味を持つ。この考え方が、ティーマの一枚一枚にいまも息づいています。アラビアのパラティッシもまた、1969年の発表以来、楽園を意味するその名のとおり豊かな植物文様で食卓を彩り続けてきました。世代を越えて選ばれ続ける2つのブランドには、フィンランドという土地が育んだ「日常の美」という共通の哲学があります。

No. 01

ティーマ ハニー マグ 300ml

イッタラ ティーマ ハニー マグ 300ml カイ・フランクデザイン

あたたかみのあるハニー色のマグです。カイ・フランクのキルタ(1952年)からティーマ(1981年)へと受け継がれた系譜を象徴する一品で、手になじむ口当たりが特徴です。

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編集部の見方 ティーマが70年以上選ばれ続けているのは、シンプルなフォルムと豊富な色展開によって、和食にも洋食にも、どんな食卓にも自然に溶け込むためだと編集部では見ています。

Timeline

2つのブランドが刻んだ、170年の軌跡。

1843
前身の磁器工場、ヘルシンキ郊外に誕生 アラビア社の礎となる工場が操業を開始します。当初はドイツ・ローゼンタール社の子会社として設立され、フィンランドの日常陶磁器生産が始まりました。
1873
アラビア(ARABIA)正式設立 ヘルシンキ近郊アラビア地区に独立した磁器工場として設立されます。アラビアはフィンランド陶磁器産業の中核となりました。
1881
イッタラ(iittala)創業 フィンランド南西部・ハメーンキュロのイッタラ村にガラス工場として設立されます。北欧の砂と自然の素材から、機能的なガラス食器の生産を始めました。
1936
アルヴァ・アアルト、花瓶をデザイン 建築家アルヴァ・アアルト(1898-1976)がイッタラ向けに有機的な波型フォルムの花瓶をデザインします。翌1937年のパリ万博に出品され、現在も「アルヴァ・アアルト コレクション ベース」として生産が続いています。
イッタラ アルヴァ・アアルト コレクション ベース 180mm クリア 1937
1948
カイ・フランク、アラビアのアートディレクターに就任 カイ・フランク(Kaj Gabriel Franck 1911-1989)がアラビアに入社します。「機能美」「装飾を排した器」「日常に使われる美」という思想で、フィンランドデザインを牽引し始めました。
1952
カイ・フランク、キルタ(Kilta)発表 スタッキング可能・色の統一・装飾ゼロという設計で、当時の常識を覆します。キルタは「日常食器の革命」と評され、後のティーマ(1981年)の直接の原型となりました。
1964
カステヘルミ、原案デザイン オイバ・トイッカが「露の玉(Kastehelmi)」をイメージしたガラス器を発表します。水面の光を閉じ込めたような凸凹テクスチャが特徴で、一度廃番となりますが、2010年に復刻を遂げました。
イッタラ カステヘルミ ボウル 230ml クリア
1969
パラティッシ(Paratiisi)誕生 ビルイエル・カイピアイネン(1915-1988)が「楽園(Paratiisi)」をテーマにデザインします。植物・果実モチーフを豊かな色彩で描いたパラティッシは、アラビアの代名詞となりました。
アラビア パラティッシ イエロー プレート 26cm
1981
ティーマ(Teema)誕生 ─ キルタの再生 キルタがティーマとしてリニューアルされます。多彩な色展開と現代の生産技術への対応を加え、カイ・フランクの思想がより多くの食卓に届くようになりました。
イッタラ ティーマ ハニー マグ 300ml
2007
アラビアとイッタラ、同じFiskars Group傘下へ 2つのブランドがFiskars Group(フィンランド)傘下に統合されます。現在は同じ品質基準・輸入体制のもとで世界市場へ展開されています。
2010
カステヘルミ復刻 46年の時を経て復刻されたカステヘルミは、デジタル時代に「手に触れたくなる器」として再評価されます。クリア・アクアなど現代の色展開を加えて現行ラインに加わりました。
現代
世界60カ国以上で、日常の器として イッタラとアラビアは現在も同じ思想のもとで食器を生み続けています。ル・ノーブルは両ブランドの正規輸入品を取り扱っています。

Core Story

カイ・フランクの、ひとつの宣言。

── フィンランドデザインの良心 ──

アラビア キルタ ブルー コーヒーカップ&ソーサー カイ・フランクデザイン
※キルタ(Kilta)のブルー。画像はイメージです

「美は、万人のものでなければならない」──カイ・フランク(Kaj Gabriel Franck 1911-1989)は、北欧デザイン史に何度もこの言葉を刻みました。1948年にアラビアのアートディレクターに就任し、1952年にデザインしたキルタ(Kilta)は、当時の陶磁器の常識を覆します。装飾を排し、色と形だけで語る器。スタッキングが可能で、日常的に使い続けられるデザイン。それまで「特別な日のための食器」が当たり前とされた時代に、カイ・フランクは「毎日のための器」という新しい価値を提案しました。機能美と無駄のなさを徹底して追求したその姿勢は、フィンランドのみならず世界のデザインに影響を与えていきます。

「日常に使われてこそ、美は完成する。」

── カイ・フランク(Kaj Gabriel Franck 1911-1989)

1960年代からはイッタラのガラス食器も手がけ、カルティオ(1958年)をはじめとする一連のガラス器でも同じ思想を体現しました。陶磁器とガラスという素材の違いを超えて、カイ・フランクは2つのブランドをひとつの思想で貫きます。アラビアのキルタとイッタラのカルティオは、別々のブランドの製品ですが、同じ設計者の哲学を共有する兄弟のような関係にあります。この2ブランドを結ぶ結節点こそが、カイ・フランクという存在なのです。

編集部の見方 装飾を削ぎ落とし機能と形だけで語るカイ・フランクの器づくりは、現代のミニマリズムやサステナブルな「長く使う」という価値観を半世紀以上先取りしていたと編集部では見ています。

ティーマをすべて見る → カルティオをすべて見る →

Craft & Material

素材に宿る、フィンランドの光と自然。

イッタラ カステヘルミ ガラスボウル 露の玉のような水滴模様
※イッタラ カステヘルミ。画像はイメージです
アラビア パラティッシ プレートの植物と果実の文様
※アラビア パラティッシ。画像はイメージです

イッタラのガラス器は、フィンランドの砂と石灰岩を主な原料として生まれます。カステヘルミの表面に連なる水滴のような凸凹は、1964年のオイバ・トイッカによる原案から変わらない鋳型で成形されています。アラビアのパラティッシの絵付けに使われる色彩は、カイピアイネンが選んだ植物文様の系譜を現代の生産工程が受け継いでいます。ガラスと陶磁器という異なる素材を扱いながら、2つのブランドに共通するのは「時代に流されないデザイン」という哲学です。北欧の澄んだ光と豊かな自然が、この器づくりの背景にあります。

編集部の見方 カステヘルミが2010年の復刻後も選ばれ続けているのは、画面越しの情報があふれる時代だからこそ、光を映す手触りのある器が日常に静かな潤いをもたらすためだと編集部では見ています。

Collections

時を越えて愛される、2ブランドの代表作。

アラビア パラティッシ(Paratiisi)

ビルイエル・カイピアイネン 1969年 ─ 楽園の植物文様

編集部の見方 パラティッシが1969年にシンプルさ一辺倒の潮流に反して「豊かさ・喜び・装飾」を選んだことは、北欧デザインが機能美だけではなく感性の豊かさも併せ持つことを示した転換点になったと編集部では見ています。
パラティッシをすべて見る アラビア ブランド一覧

Gift & Related

贈り物として、物語として。

北欧の食卓を彩るイッタラとアラビアの器は、大切な方への贈り物として多くの方に選ばれています。ラッピングや熨斗のご準備については、ル・ノーブルのギフトサービスをご利用ください。

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FAQ

よくあるご質問

Q1: イッタラとアラビアは同じグループですか?

はい。アラビアとイッタラは現在どちらもFiskars Group(フィンランド)の傘下ブランドで、2007年にFiskarsがイッタラグループとともにアラビアブランドをグループ傘下に統合しました。日本では同じ正規輸入ルートで取り扱われています。

Q2: カイ・フランクはどちらのブランドのデザイナーですか?

両方です。カイ・フランク(1911-1989)は1948年よりアラビアのアートディレクターとしてキルタ(1952年)を発表し、後にティーマ(1981年)として受け継がれました。同時にイッタラのカルティオ等もデザインし、「フィンランドデザインの良心」と称されています。

Q3: ティーマ(Teema)とキルタ(Kilta)は同じものですか?

ティーマはカイ・フランクが1952年にデザインしたキルタを、1981年に現代の生産技術とカラーバリエーションに対応させてリニューアルしたシリーズです。シンプルなフォルムとスタッキング可能な設計という思想は変わらず受け継がれています。

Q4: イッタラの花瓶(アルヴァ・アアルト コレクション ベース)は何年のデザインですか?

建築家アルヴァ・アアルトが1936年にデザインし、翌1937年のパリ万博に出品したものが原型です。現在も同じフォルムで生産が続いており、「1937年型」の名称でも知られています。約90年間変わらず愛されているイッタラの代表作の一つです。

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