ARABIA FINLAND
引き継がれるデザイン
1843年、ヘルシンキ郊外の小さな磁器工場として誕生したアラビア社。
170年以上の歴史を超えて、
カイ・フランクをはじめとする数多のデザイナーたちが紡ぎ出した、
「日常生活のための美」をご紹介します。
ARABIA FINLAND
引き継がれるデザイン
1843年、ヘルシンキ郊外の小さな磁器工場として誕生したアラビア社。
170年以上の歴史を超えて、
カイ・フランクをはじめとする数多のデザイナーたちが紡ぎ出した、
「日常生活のための美」をご紹介します。
フィンランド共和国の首都・ヘルシンキ。その街の中心部より路面電車にて15分ほどのところにある「アラビア」という地区に、小さな磁器工場が建てられたのは1843年、今より170年ほど前のことでした。磁器工場はスウェーデンのロールストランド社の子会社として設立され、土地の名にちなみ「アラビア」と名付けられました。
当時、フィンランドはロシア皇帝を大公とする立憲君主制で、アラビア社の設立はロシア向けの輸出品の生産が主な目的でした。ロシア革命によりロシア帝政が倒され、フィンランドがロシアより独立を果たす1年前の1916年、アラビア社はフィンランドの所有となりました。陶磁器のデザインは20世紀に入るまで、ロールストランド社のものがそのまま用いられていましたが、外国人のアーティストを雇用することにより、やがてアラビア製陶所独自のデザインの基礎が築かれていきました。
1930年代の初め、アラビア社はビルイエル・カイピアイネンらを雇い入れ、そしてその後も新しいアーティストを次々に加えていきました。彼らは他のヨーロッパの製陶所のように、マイセンや中国の模倣をする代わりに、独自のシェイプや図柄をデザインして発展させていきました。
1920年代よりスウェーデンでは早くも「日常生活のための美」という理念が大きなスローガンとして掲げられていましたが、数年ほど遅れてフィンランドにもこの新しい考え方が提唱されるようになりました。アラビア社はデザイン企画室を別個に設立し、当時ガラスおよびテキスタイルデザイナーとして名声を博していたカイ・フランクを1945年からその責任者に任命しました。彼は陶磁器の技術などにも精通し、独特の明快で簡素なデザインを生み出していきました。
フィンランドデザインの特色を「シンプルで機能的」とみると、アラビアのデザイナー、アーティストの作品のイメージが真っ先に思い出されることから、アラビア社というひとつの企業の芸術的方針がフィンランドの陶磁器工芸の発展にいかに大きな影響を与えたかがわかります。
カイ・フランク(Kaj Gabriel Franck)1911-1989
「フィンランドデザインの良心」と呼ばれるヘルシンキ生まれの、国際的に有名な陶磁器とガラスのデザイナー。1948年に「ティーマ」の原型となるKilta(キルタ)シリーズをデザイン。
このシリーズはすべて円、四角形、長方形の3つの形からデザインされており、重ねて収納しやすいのが特徴で、装飾は色のみとなっています。
ティーマ/TEEMA は1981年~現在も生産が続く、フィンランド食器の代名詞。「ディナーセットを粉砕せよ」というスローガンのもと、自由な組み合わせにより食卓での用途を網羅するシリーズ食器として誕生しました。レンジ可・オーブン可・食洗機可で、毎日の暮らしに寄り添う実用性が魅力です。
※ ティーマシリーズは現在イッタラ(iittala)ブランドより販売されています。
1915年、フィンランド・ポリ市生まれ。アラビア社で40年以上のアーティスト歴をもつカイピアイネンは、かつてオペラのコスチュームのデザインをしていた事もあり、作品内に布の柔らかさや装飾性を陶磁器に生かそうとする意志が見えてきます。
自然のモチーフ、特にパンジーが特徴であり、1970年より作られた「パラティッシ/paratiisi」シリーズは現在でも高い人気を誇っています。
1975年、フィンランド・タンペレ生まれ。2002年に芸術デザイン大学の陶磁器ガラスコースを卒業後、同年に美濃の国際陶磁器フェスティバルで受賞。卒業制作としてデザインしたものがアラビア社での最初の作品となりました。現在はアラビア社のアート部門に所属し、デンマークと日本の信楽で開催されたアラビアのアート部門の展覧会にも参加。2005年には初の個展もアラビア博物館にて開かれています。
代表作: ルノ/Runo(2009年~)
1947年、ヘルシンキ生まれ。ヘルシンキの芸術学校を卒業後、テキスタイルのデザインをしていましたが、1980年よりアラビア社のアートデザイン部に勤務。数々の陶磁器のフェスティバルでグランプリを獲得し、1998年の日本の美濃で開催された国際陶磁器フェスティバルでもグランプリを受賞しました。
代表作: ココ/KoKo(2005年~)。シンプルで機能的、カラーバリエーション豊かなマグカップシリーズで、北欧の食卓を彩り続けています。
1938年、フィンランド・Vehmaa(ヴェマー)生まれ。1962年以来、アラビア社でデザイナーとして勤務。絵本作家としても有名であり、来日もしています。彼女の制作する絵本や物語をテーマにした壁飾りには点字も施されています。
代表作: ヘリヤ/Helja(1984年~)。ウサギなどの動物が描かれた、絵本のような物語性のあるシリーズです。
アラビア社とイッタラが生み出してきた、北欧フィンランドデザインの代表作たち。シンプルで機能的、そして美しい──「日常生活のための美」を体現したシリーズの数々は、世代を超えて愛され続けています。
主な代表シリーズ:
・ティーマ/TEEMA(1981~):カイ・フランクのキルタの原型を引き継ぐ普遍のシリーズ
・パラティッシ/paratiisi(1969~):カイピアイネンの自然モチーフ
・ルノ/Runo(2009~):ヘイニー・リータフフタの新世代デザイン
・ココ/KoKo(2005~):カティ・トゥオミネンのカラフルマグ
・ヘリヤ/Helja(1984~):絵本のようなウサギモチーフ
レンジ可・オーブン可・食洗機可、毎日の暮らしに寄り添う実用性と美しさをご堪能ください。
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