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マイセンクリスタル|色硝子のパレット コバルト・クロム・マンガンが描く色彩

マイセンクリスタル 色硝子のパレット コバルト・クロム・マンガンが描く色彩

MEISSENER BLEIKRISTALL · PALETTE OF GLASS

マイセンクリスタル
色硝子のパレット
コバルト・クロム・マンガンが描く色彩

BLUE・GREEN・LILAC ─ 鉱物発色の3色とグラヴュールの美

色硝子の歴史は5000年に及びます。古代メソポタミアの装身具に始まり、紀元1世紀シリアの宙吹き成型、ボヘミアの色被せカットを経て、18世紀ザクセン王国マイセンの地でマイセンクリスタルの原型が誕生しました。本特集では、酸化コバルトの青、酸化クロムの緑、二酸化マンガンの藤という鉱物発色の三色と、透明なクリスタルに文様を刻むグラヴュール技法を辿ります。

PROLOGUE

色硝子の物語 ─ 古代メソポタミアから現代マイセンへ

紀元前3000年頃のメソポタミアやエジプトでは、小さなガラス玉を繋げたネックレスなどの装身具が、支配階級の貴重品として珍重されていました。紀元1世紀のシリア・パレスチナ地方では吹き竿を使った「宙吹き成型」が考案され、薄手で半透明なガラス器が普及し始めます。ローマ帝国の拡大とともに「ローマングラス」として広く交易され、ビザンチン帝国期にはカット・エナメル装飾・金装飾といった高度な技法が確立されました。1204年のビザンチウム陥落後、ガラス産業はヴェネツィアへ、15世紀以降はムラノ島で洗練が進みます。一方、ボヘミア地方では宝石彫刻の伝統を背景に、硬く透明度の高いカリウムガラスにカットを施す技術が花開きました。17世紀には発色法が発展し、酸化金属を用いた色被せのカットグラスが世界中で人気を博します。なかでも金を用いて深紅を得る発色は最も気難しく、職人が幾度も窯入れを重ねる伝統技法として今も語り継がれています。そして18世紀、ザクセン王国マイセンの地で、ボヘミアの色被せ技術と、ドレスデン宮廷由来の繊細な研磨技術が融合し、今日のマイセンクリスタルの原型が誕生します。本特集では、現在のマイセンクリスタルが手にできる三つの色──コバルトの青、クロムの緑、マンガンの藤──と、透明のクリスタルに刻まれたグラヴュールの美を辿ります。

BLUE · COBALT OXIDE

BLUE ─ 酸化コバルトが生み出す瑠璃色

鮮やかなブルーは酸化コバルトによる発色です。瑠璃色という名前で呼ばれることも多く、古くからガラスの着色料として使われてきました。マイセンクリスタルでは、深い藍に透明感を抱かせるブルーが、テーブルウェアにもインテリアにも広く愛されています。本特集ではブルーの一輪挿し23cmを採用しました。透明なクリスタルに濃青のガラスを被せ、カットで層を削り出した色被せのシルエットは、一輪の花を引き立てる名脇役となります。次章で紹介する同じフォルムのグリーンと並べて、色違いの呼吸をお楽しみいただけます。

GREEN · CHROMIUM OXIDE

GREEN ─ 酸化クロムが描くみずみずしい緑

酸化クロムが、ガラスにグリーンの色を与えます。少し黄味を帯びた緑は、若葉のようなみずみずしさが特長です。本特集では二点を採用しました。ひとつは一輪挿し23cmのグリーン。ブルーと対をなす色被せの一輪挿しで、二色を並べれば、生ける花の色を選ばずに迎えられます。もうひとつはロンドンフラワーのワイングラス、ライトグリーン。グラヴュール技法で繊細な草花が刻まれ、光をかざした時に透ける緑こそ、このシリーズの真骨頂となります。色被せとグラヴュール、二つの技が一脚に宿ります。

LILAC · MANGANESE DIOXIDE

LILAC ─ 二酸化マンガンが描く藤色

二酸化マンガンが、ガラスに紫色を与えます。やわらかな藤色は、宙吹きクリスタルに上品な気配をまといます。本特集ではロンドンフラワーのワイングラス、ライラックを採用しました。透明なクリスタルに藤色のガラスを被せ、グラヴュールで草花を刻んだ一脚は、テーブルに静かなアクセントを添えます。青、緑とは異なる、淡く繊細なこの色は、ロンドンフラワーの色被せの幅広さを物語ります。光の角度によって表情を変える藤色を、手元でお確かめください。

CLEAR CRYSTAL · GRAVUR

透明の美 ─ 無色のクリスタルに刻むグラヴュール

色を被せないクリスタルには、別の美しさがあります。マイセンクリスタルの透明なグラスは、グラヴュール技法──回転する銅盤やダイヤモンド砥石でガラス表面を削り、文様や草花を彫り込む装飾──によって、光そのものを意匠に変えます。本特集では四点を採用しました。ブルーオニオン リッチの赤ワイングラスは、マイセンの代表紋様「ブルーオニオン」を透明なクリスタルにグラヴュールで再解釈した一脚です。「赤ワイン」とはワインの種類に合わせた器の名であり、グラスそのものは澄んだ無色です。あわせて、ワイングラス・シャンパンフルート・オールドファッションの三つのペアセットをご紹介します。いずれも装飾を抑えた端正なフォルムで、二人の食卓にも、贈り物にも調います。色を持たないからこそ、注いだ飲み物の色やカットの陰影が際立ちます──透明もまた、マイセンクリスタルが描くひとつの色です。

HERITAGE · LEGACY

名作シリーズへ ─ 花瓶・ドラゴン・フクロウ

本特集の前身となる過去の連載では、花瓶やドラゴンのオールドファッション、フクロウのディナーベルといった意匠豊かな名作を取り上げました。暖色の色被せや干支をモチーフにした作品など、マイセンクリスタルの世界はここで紹介した三色とグラヴュールにとどまりません。各シリーズのページから、その時々の取扱状況をお確かめいただけます。いずれもグラヴュール技法と色被せの伝統を継ぐ作品です。

EPILOGUE

5000年の色硝子、その先のひとつ

古代メソポタミアの装身具から、ボヘミアの色被せカット、そしてマイセンの宙吹きクリスタルへ──色硝子の系譜は、5000年の時間を超えて受け継がれてきました。マイセンクリスタルが今日に伝えるのは、酸化コバルトや酸化クロム、二酸化マンガンといった鉱物が織りなす色のパレットと、透明なクリスタルにグラヴュールを刻む職人の手技です。一脚のグラス、一輪の花瓶を選ぶことが、その系譜の一端に触れることになります。

FAQ

よくあるご質問

Q1: マイセンクリスタルの色被せはどんな色がありますか?
酸化金属によってさまざまな色を生み出します。本特集で取り上げるのは、酸化コバルトによる青、酸化クロムによる緑、二酸化マンガンによる藤色の三色です。透明なクリスタルに色ガラスを被せ、カットで層を削り出す「色被せ」の技法によって、深みのある発色が生まれます。
Q2: 一輪挿しの色違い(ブルー・グリーン)はどう使い分けますか?
一輪挿しのブルーは酸化コバルト発色、グリーンは酸化クロム発色です。同じシルエットで色違いを揃えると、生ける花の色を選ばず、季節や気分でローテーションできます。
Q3: ロンドンフラワーのライラック(藤色)はどんな成分で発色しますか?
二酸化マンガンによる発色です。やわらかな紫色を作るには酸化剤も必要で、グラヴュール技法で刻まれた草花と相まって、宙吹きクリスタルに上品な気配をまといます。
Q4: グラヴュール技法とは何ですか?
グラスの表面を回転する銅盤やダイヤモンド砥石で削り、文様や草花を彫り込む装飾技法です。マイセンクリスタルのロンドンフラワーは、グラヴュールで繊細な草花を刻んだ代表的なシリーズです。
Q5: ブルーオニオン リッチとはどんなシリーズですか?
マイセン磁器の代表紋様「ブルーオニオン」を、マイセンクリスタルで再解釈した本格派のワイングラスシリーズです。赤ワイン用・白ワイン用と口径違いが揃い、磁器とクリスタルの両方でブルーオニオンを楽しめます。

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