輪島塗の代表的な技法である沈金で太陽と松を表現しています。特に太陽は、沈金でも特殊な技法である「象嵌」と言う仕事を施している逸品です。彫った溝に赤とオレンジの色漆を塗り込んで表面の凹凸を無くしているのですが、漆を塗り込み、乾かしては彫り進むという方法で色がにじまず、くっきりとしたグラデーションが美しく出ています。朱色の酒盃の太陽は、素彫り。直線が美しい意匠ですが、太陽、松などすべてが定規などを使わないフリーハンドで彫られています。
実際に手に持ったときの、軽さと漆の優しさに包まれるような感覚、ぜひ試していただきたいと思います。自然の素材である木と、天然樹脂である漆にこだわり、何人もの職人の手間と時間を惜しみなくつぎ込んで作られた器は、環境や身体にも優しく、使い込むほど味わいが増してきます。
沈金：福光作 塗師：参州 材質：あての木／ケヤキ。