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Lalique
ラリック
「ルネ・ラリック」について

ルネ・ラリック(Rene Lalique)は1860年、フランスのマルヌに生まれました。1945年に生涯を閉じるまでの、その「創造の軌跡」をご紹介いたします。


 

■宝飾家ルネ・ラリック

ルネ・ラリック ルネ・ラリックは1860年、フランスのマルヌに生まれました。 彼は絵画に興味を抱いていましたが、母の強い希望により、パリの一流宝飾家「ルイ・オーコック」に弟子入りします。

当時、女性の装身具にはダイヤモンドがつき物で、金や貴石が中心でしたが、 彼はそんな常識にとらわれず、台座には銀やもっと安価なものまで用い、色物の石や七宝などを使った全く新しい装身具を次々と生み出しました。

デザイン性を重視した彼の作品は、当初は同業者や上流社会の婦人達を驚かせましたが、 やがて批評家達の評価を得て、1889年と1900年のパリ万博において宝飾芸術家の第一人者としての地位を確立します。
パリの大きな美術館はこぞって彼の作品を買い求め、世界中の王室が彼に特別注文を出したほどです。 このとき彼は40歳。

同業者が作品の模倣まで始めた芸術家の鬼才の地位を、彼は決して満足して受け入れていた訳ではありませんでした。

■香水瓶との出会い

1901年ごろからガラスを宝飾の素材として広く用い始めていたラリックでしたが、 彼のガラス工芸家への転機となったのは、1907年フランスの香水王「フランソワ・コティ」との出会いでした。

1905年、すでに「蝋型成型法(シールベルデュ)」の技術を開発していたラリックは、パリのヴァンドーム広場24番地に宝飾店の店を構えました。 コティの香水店はその隣、23番地にありました。

19世紀ごろまで香水は大変高価なものでしたが、20世紀初頭には化学香料が発明され、だいぶ手に入れ易くなりました。 しかし大方の香水商では薬瓶に詰められ、蝋紙で包んで販売されていました。

「香水は芸術のひとつである」と考えたコティは、パッケージを美しいものに変える事により、より多くの一般女性を魅了し、香水を普及させようと考えたのです。

コティがラリックに最初に依頼したのは、「レ・フルール」という香水瓶につけるラベルでした。
その後、ラベルだけでなく香水瓶も手がけるようになるのですが、 特権階級の女性を満足させる宝飾芸術化としての社会的地位よりも、 中産階級の経済的台頭や女性の社会的地位向上に見合った作品を多く世に出したいラリックにとってまさに二人の野心と目標が合致したと言えるでしょう。

■ラリックのガラス製法

ラリック ラリックは早速、1908年にパリ南東部のコーム・ラ・ヴィルにガラス工場を借り受け、1911年にはパリ・ヴァンドーム広場の宝飾店でガラスだけの作品展を開催します。
そして1913年には工場を買い取り、注文の増えていた香水瓶を含め、ガラス製品の量産化に乗り出します。

ラリックが良質なものを量産する為に考え出した成型方法のうち、代表されるのが「型吹き成型(圧搾空気法)」と「プレス成型」です。

「型吹き成型」は鋳鉄か加鋼鋳鉄の鋳型に、溶かしたガラス種をコンプレッサーにより圧搾空気で吹き付ける方法です。 この方法はラリックの息子である「マルク・ラリック」の功績により、技術面で格段の進歩を遂げました。 それまで人の息によって成型されていた型吹きが、瞬時に隅々まで均一に行えるようになったのです。

「プレス成型」は「型吹き成型」と同様、鋳鉄か加鋼鋳鉄の型を使い、流し込んだガラス種を杵型か押圧機で押し付けて成型し、後に型からはずしてパーツを溶接する方法です。

ラリックは、量産における品質低下という問題を、成型法に重点を置くことにより解決したのです。

■ラリックの作品

ラリック ラリックはまた、様々なガラス素材も生み出しました。
今日彼の代表的ガラス素材として最も人気の高い「オパルセントガラス」は、ガラス種に燐酸塩、窒素などのほか少量のコバルトを加えるもので、 冷却時間が長いほど白濁の度合いが強く出て、オパールのような青白い輝きを放つものです。

この特性により厚みのある部分は白濁し、他の部分は透明に仕上がって、作品に強いコントラストを与えることができます。

この後彼は1925年、パリの現代装飾美術展において、128本のガラスの女性像とパネルでくみ上げられた、高さ12mのガラスの噴水「フランスの泉」を出展し、押しも押されぬガラスの大家となります。

が、彼のガラスが秘める可能性への追求は留まる事はありませんでした。
香水瓶から、置時計や鏡、照明器具を経て、建築用素材としてガラスを取り入れることを、ラリックは当時の社会に浸透させ、成功したのです。

ともすればシンプルな印象を受けるラリックの作品ですが、それは光を受けると見る角度によって変幻するのを計算したもので、彼のガラスを知り尽くした巧妙な仕掛けに感心させられます。
このセンスの良さが、彼の作品を単調では終わらせない理由なのかもしれません。

工芸家としての生涯を閉じるまで意欲的に探求しつづけたラリック。 時流を見極めるセンスも、激動の時代にあっては必要だったようですね。


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