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ル・ノーブルスタッフが現地の模様をレポート。

Vol.3 ヴェネツィア ムラノ島
 バラリン工房を訪ねて

水の都ヴェネツィア。古くから商人の街として栄え、独特の香りと情緒を持つこの水上都市は多くの人たちが愛してやまない地のひとつでもあります。

訪れた人をたちまち中世の幻想へと連れていくこのに街は通年を通して観光客が集まります。



上 写真)水の都ヴェネツィア。水位の高い日は、サン・マルコ広場が水浸しになります。

 ユーロスター終着地サンタルチア駅の石段を降りると、一面に広がる水路とヴァポレット(水上バス)。
ムラノ島へはそこから直行のヴァポレットへ乗っての旅になります。

緩やかなスピードで進むヴァポレットに乗ること15分。 ムラノ島の中のとある駅のひとつで下車し、細い路地を歩くと、古くて小さな緑の重厚なドアに行き当たります。

目を凝らして見ないとわからないほど小さな表札で「Ballarin」と書かれたそこが、1483年から続くバラリンへの入り口です。
 もっとも「バラリン」という苗字の家はムラノ島では非常に多く存在するため、「どこのバラリンだ?」ということもしばしばなのですが。

 重い扉を開け、階段を上ると冬空に寒そうに映る真っ白な壁の外観からは想像がつかないほどの熱さに包まれた工房。
 金属音と炉の中で轟々とうなり声を上げる火の音が、話し声をかき消すほど大きな音を立てて私たちを迎えました。

工房内の道具や窯がバラリン家の600年の歴史を静かに語ります。

<ジュリアーノ・バラリン氏とは>

 1483年から続くバラリン家の当代マエストロであるジュリアーノ・バラリン氏は1942年生まれ。 グラス作りを始めた若き頃から、彼のその芸術的センスと鮮やかなひらめきには目を見張るものがありました。 ほどなくして彼は、秘伝といわれているそのムラノグラスの技術を当時のマエストロ達から吸収し、技術を積み重ねていきました。

 ジュリアーノ氏は多才に富み、大きな作品から小さなグラスまでガラスを損なうことなく難なく作品を作り出すことができます。

 彼が最も好み得意とするのは、レッティチェロ(網目)、ルトリー(ねじり)、フィリグラーナ(線状)使って作られる華麗で繊細なレースガラス。 ヴェネツィアンの技法の中でも秘法中の秘法として門外不出の強い統制下に置かれてきた独特の製法です。

 「クアトロピアッツァ」と呼ばれる数人でひとつのものを作り上げていく伝統的手法でグラス作りは行われます。 掛け声やお互いの呼吸などは、長い時間をかけて培われてきた熟練の技です。


バラリン工房が得意とするフィギュリン」の製作を見せてもらうことに。 ボウルやプレートの技術以上に高度な技術と熟練の腕を必要とする一点です。

 まず始めに掛け声のもと、「ポンテ」と呼ばれる棒をくるくると回しながら、見事な早業で顔の部分を作っていきます。
 大きなはさみでガラスが固まりきらないうちに切り込みを入れ帽子の部分などを作ります。

フィギュリンの頭部分。何回も溶かしたガラスを丁寧につなげていきます。手先と道具だけの繊細な感覚で、目、口、鼻を作ります。

 そしてその次は胴体。まるで水あめのように、ポンテをくるくる回しながらガラスをひねったりはさみでちょきちょきしていきます。 どの部分にどれだけの分量のガラスを付け足していくのかなどはすべてマエストロの経験と手の感触にかかっているといっても過言ではないでしょう。

 次にスカート。三種類の柄を合わせて作り出すのですが、これがまた面白いのです。
ずらっと並べたその短い棒をテーブルに置き、まず窯の中に入れます。 しばらくするとガラスが溶けてきてそのうえにポンテを乗せるとやわらかくなったガラスはくるくると棒にまとわりつきます。 それに切り込みを入れていくとスカートが。

この一連の作業は「見事」の一言で、3人の息の合った仕事によって見事なフィギュリンが新たに生み出されました。

このガラス棒を一旦溶かして、スカートとしていくのです。

形を整えながら、くるくる回して・・

何度も窯に入れて熱で調節。
左 写真)
バラリン ペアフィギュリン ブラウン

 実演をしてもらったあと、ショールームへと案内していただきました。10坪ほどの小さなショールームには、所狭しと面白い商品がたくさんでスタッフも興奮気味。

 まず目を引いたのは私たち日本人になじみのあるボウル。 ホワイトの八角形鉢はシンプルで飽きがこず、サラダを入れたり冷奴などのおつまみを入れるとちょっとおしゃれな感じに。

ゴールドとブラックのレース柄の小鉢は、ゴールドが入ることによって上品な仕上がりになっています。 その他にもいろいろなアイテムがあり、目移りして大変でした。

ヨーロッパへ行くと感じるのですが、意外に「ありそうでない」のがこの小鉢。 和食には欠かせないアイテムですが、ヨーロッパでは使う機会が少ないのか目にするのはあまり多くないのかもしれませんね。 (今回はル・ノーブルの定番であるフィギュリン脚付などと合わせて、この小鉢もオーダーしました。)

ショールームにて。
あのガラス棒がこんなに色々なアイテムに変化していくのは見事としか言いようがありません。

 今回の買い付け分は既にル・ノーブルに入荷しています。今まで入ったことのない面白い商品も入荷しています。

 暑くなるこれからの季節にガラスは必需品。
今年の夏は、職人の息吹を感じるヴェネツィアグラスを食卓に並べて視覚と味覚の両方から楽しんでみるのもいいかもしれません。

 
コンテンツ

Vol.1
ミラノ見本市

Vol.2
フランクフルトメッセ

Vol.3
ヴェネツィア ムラノ島
バラリン工房を訪ねて

Vol.4
タイ見本市とジムトンプソン

Vol.5
香港レポート

Vol.6
ミラノ見本市2

Vol.7
微笑みの国タイより

Vol.8
イタリア マチェフ見本市

Vol.9
微笑みの国タイより 2007年冬
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